TOPIC No.4-33 中国でのインターネット

01. 中国インターネット YAHOO! NEWS
02. 中国のネット検閲 (2005年04月19日)Yomiuri On-Line
03. インターネットが変える中国社会(2003年11月21日) Wired News
04. 中国でインターネットにアクセスする方法
05. 中国インターネットカフェ事情


【イチから分かる】中国の検閲システム インターネット警官監視

2010.03.31 07:34 MSN産経新聞

北京の「グーグル中国」ビルと中国国旗(ロイター)

 米インターネット検索大手グーグルが、中国本土から撤退した。中国からのサイバー攻撃とともに、同社が撤退の理由に挙げたのが中国政府が要求し続けてきた自主検閲。巷間(こうかん)ささやかれる検閲の仕組みをみれば、中国政府がいかにネットを通じた情報の伝達に神経をとがらせているかがうかがえる。(中国総局 川越一)

 グーグルは中国本土での検索サービス運営から撤退した22日、香港を拠点とする同社サイトで検閲抜きの中国語版検索サービスを始めたと発表した。

 グーグル香港の検索ページで「天安門」と入れてみた。1030万件がヒットした。天安門の観光ガイドなどがほとんどだ。その中に「天安門事件」というタイトルを見つけてクリックしてみると、それは1989年6月4日に中国政府が民主化運動を武力弾圧した「天安門事件」ではなく、1976年4月5日、文化大革命に抗議する民衆と北京当局が衝突した第一次天安門事件だった。

 「天安門事件」、もしくは中国で89年の事件を表す「六四」で検索すると、画面上には「ページを開けません/サーバとの接続が予期せず解除されました。これはサーバでの処理が込み合っていると起きることがあります。数分待ってからもう一度やり直してください」と出る。もちろん数分後に試してみても結果は変わらない。これが、通称「グレート・ファイアウォール(防火長城)」と呼ばれる中国の検閲システムの一端である。

 2005年、中国の検閲システムに関する調査結果が米国で発表された。この調査は金融家、ジョージ・ソロス氏が設立した人権擁護団体「オープン・ソサエティー研究所」が支援する「オープンネット・イニシアチブ」によって行われた。

 それによると、サーチエンジンなどの段階で特定のキーワードを含むサイトやアドレスをフィルターにかけて削除・遮断し、体制批判や性的描写など規制が必要と中国政府がみなす話題へのアクセスを遮断しているという。

 中国公安省は1999年、インターネットの管理・統制を含む「金盾」計画を開始した。「防火長城」はその一部だ。中国誌「南方週末」は、公安省が計画遂行のために「公共情報インターネット安全監察局」を創設したと指摘している。中国中央テレビの報道によると、計画に投入された資金は2002年末時点で64億元(約867億円)、検閲にかかわる“インターネット警官”は3万人を超える。一説には数十万人ともいわれている。

 不適当な内容を含むサイトは通告もなく遮断されることがある。遮断は多大な損失を招くため、運営側は当局の思惑通り、コメントの削除などの自主規制をとっているのが現状だ。

 ■禁止キーワードが示す当局の危惧 抜け道探し抵抗するネット利用者

 一党独裁体制の維持を至上命令とする共産党政権は、社会の安定を損ないかねない“芽”をいくつも摘み取ってきた。

 検閲の対象となっているキーワードをみれば、中国当局が危惧(きぐ)しているものが見えてくる。

 「天安門事件(六四)」のほかにも、チベット自治区の自治拡大を主張し続けるチベット仏教の最高指導者「ダライ・ラマ14世」や1999年に非合法化された気功集団「法輪功」、法輪功と関係する報道機関「大紀元時報」などが、代表的な禁止キーワードとして挙げられる。これらは検索も不可能だ。日本など他国の検索エンジンを使えば検索自体は可能だが、サイトの閲覧はできない。

 ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)「フェースブック」やミニブログ「ツイッター」、グーグルの動画共有サイト「ユーチューブ」の閲覧も制限されている。

 もっとも一部のネット利用者は、ファイアウォールに阻まれない仮想専用線(VPN)を使って必要な情報にアクセスするなどの対抗策を講じている。当局とネット利用者の“いたちごっこ”はやむことがない。

中国、ネット検閲を継続 グーグル撤退でも変えず

2010年03月23日 中国新聞ニュ−ス

 グーグルの看板に腰掛け、記念写真に納まる男性=23日、北京(共同)

 【北京共同】中国外務省の秦剛副報道局長は23日の定例記者会見で、米インターネット検索大手グーグルの撤退問題に関し「法に基づきネットを管理する中国政府の立場に揺るぎはない」と強調、今後も検閲を含めたネット管理を続けていく方針を表明した。

 グーグルが中国本土での検索サービス撤退を表明したことについては「企業の個別の行動だ」と指摘。グーグルの訴えに譲歩して中国政府の対応を変更することはないとの考えを示した。ただ、米中関係への影響については「誰かが政治問題化しない限り影響を与えるとは思わない」と述べ、政治問題化を避ける意向を示した。

 ネット検閲に関しては「国家の安全や、公共の利益に有害な情報を防ぐ必要がある」と正当性を強調。中国で検索サービスを行う企業は中国の法律を順守すべきだとした。今回の撤退問題によって国際的なイメージを損なったのは「中国ではなくグーグル自身だ」と訴えた。

中国パソコン規制 7月実施控え業界が困惑

2009.06.19 MSN産経新聞

 【上海=河崎真澄】中国で販売するパソコンに当局指定の“検閲ソフト”搭載が7月1日から義務づけられる問題で、国内外のパソコンメーカーや販売店、ネットユーザーに混乱が広がっている。ポルノなど有害サイトへの接続を遮断するとされるソフトだが、「搭載後のパソコン全体の品質を保証できない」と日系メーカーは困惑している。ユーザーが組み立てるキット型パソコンの場合は搭載を免れるなど、問題も数多く残された中での“見切り発車”に、国内のネット上では批判が渦巻いている。

 検閲ソフト搭載の義務化は、工業・情報化省が5月19日付で関係部門に通達した。「グリーン・ダム・ユース・エスコート」と名付け、青少年保護をうたってはいるが、有害サイトの定義はあいまいで、“フィルター”には政府や共産党を批判するサイトや発言も引っかかる可能性が高い。

 同省が4170万元(約5億9200万円)で国内企業に発注したとされるソフトには、米ソフト開発会社のソリッド・オーク・ソフトウエアが13日、「ソフトの開発コードが盗用された」と主張し、差し止めを請求する考えを表明した。

 また、日系メーカーの関係者は「通達から搭載義務化までの期間が短い上、ソフトの中の“ブラックボックス”部分が解明できないと、当初から搭載して販売する商品の品質を百パーセント保証することは難しい」と頭を抱えている。販売後1年はソフトの使用料は無料だが、有料となる2年目以降の料金や課金方法も未公表だ。

 上海市内のあるパソコン販売店の場合、販売台数の約半数はメーカー製以外の安価なキット型だが、店員は「キット型への検閲ソフト搭載は何も聞いておらず、どうしたらいいか困っている」と話した。メーカー製への月内の駆け込み需要も増えているようだ。

 中国国内のネットユーザーも反発の声を上げた。大手ポータル(玄関)サイトが実施したユーザーへのアンケートで、9万3353の回答のうち85・3%の7万9627までが「検閲ソフトの導入に反対」と答えた。90%以上が開発費4170万元を「ムダ」と指摘するなど警戒感と嫌悪感が広がっているようだ。

 一方、共産党宣伝部が中国メディアに検閲ソフトの批判禁止と、青少年保護の観点から世論の支持を誘導するよう通達したとの情報もあり、当局は批判に敏感になっているもようだ。

中国政府指定の検閲ソフトにセキュリティ脆弱性--米大学研究チームが警告

2009年06月15日 (CNETニュース) 読売新聞 YOMIURI On-Line

 中国政府の検閲ソフトウェアには、巨大なボットネットを構築するハッカーに悪用される恐れのあるセキュリティ脆弱性が含まれている、と専門家は警告する。

 ミシガン大学の専門家によると、脆弱性の根本的な原因は「Green Dam Youth Escort」ソフトウェアにあるという。中国工業情報化部は現地時間6月9日、中国で発売されるすべての新品コンピュータにGreen Damをプレインストールすることを義務付ける、と述べた。

 「Green Damをインストールしてしまうと、ユーザーの訪問先となるウェブサイトは、これらの脆弱性を突いて、コンピュータを乗っ取れるようになる」と同大学の研究チームは書いた。「これにより、悪意のあるサイトは、個人データの窃盗やスパムの送信、コンピュータのボットネットへの追加などを実行することが可能になる」(研究チーム)。この警告は、Scott Wolchok氏とRandy Yao氏、J. Alex Halderman氏が米国時間6月11日に発表した論文に掲載された。

 Green Damソフトウェアは、URLやウェブサイトの画像をブロックしたり、ほかのアプリケーションのテキストを監視したりすることで、コンテンツをフィルタリングする。フィルタリング用のブラックリストには、政治的なコンテンツとアダルトコンテンツの両方が含まれている。

 研究チームによると、彼らはGreen Damを1日テストしただけで、ウェブサイトの要求を処理するコード中にプログラミングエラーがあることを発見したという。そのエラーにより、同ソフトウェアを実行するすべてのコンピュータ上で、バッファオーバーラン状態が発生する、と彼らは述べた。

 「このコードは、固定長バッファを持つURLを処理する。そして、特別に生成されたURLは、このバッファをオーバーランさせて、実行スタックにエラーを発生させることができる」と研究チームは述べた。「ユーザーの訪れるあらゆるウェブサイトが、悪意のあるURLを持つページにブラウザをリダイレクトし、コンピュータを乗っ取ることが可能だ」(研究チーム)

 研究チームは、脆弱性の存在を示す概念実証プログラムを構築した。研究チームによれば、そのプログラムを使えば、Green Damを実行しているコンピュータは必ずクラッシュするという。

 さらに、Green Damは、ブラックリストの脆弱性を突くことにより、コンピュータ上にほかのプログラムをインストールする目的にも利用可能だ。この脆弱性により、Green Damのメーカーだけでなく、彼らになりすましたサードパーティーも、フィルタアップデートをインストールした後で、任意のコードを実行し、ユーザーのコンピュータに悪意あるソフトウェアをインストールすることができてしまう。

 中国国営の新華社通信の報道によれば、Green Damの開発元であるJinhui Computer System Engineeringは、同ソフトウェアはスパイウェアではないと述べたという。「私たちのソフトウェアは単なるフィルタであり、インターネットユーザーをこっそり監視することなどできない」とのJinhuiの発言が引用されている。

 新華社通信の記事は、フィルタ自体を使ってスパイウェアをアップロードすることが可能なのかどうかには触れていない。

 ミシガン大学の研究チームは、Green Damを実行している人に対し、同ソフトウェアを即刻アンインストールするよう勧めている。 (CNET Japan)

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中国がPCメーカーに導入義務づけのフィルタリングソフトに盗用疑惑

2009/06/15 マイコミジャーナル Junya Suzuki

 中国が同国内で販売されるすべてのPCに指定のフィルタリングソフトのインストール義務づけを計画していることが以前に話題となったが、そのフィルタリングソフトにプログラムの盗用疑惑が持ち上がっている。米Wall Street Journal紙(オンライン版)が6月13日(現地時間)付の記事で報じている。

 この問題を報告したのは米カリフォルニア州サンタバーバラに拠点を置くSolid Oak Softwareで、フィルタリングソフトでは著名な「CYBERsitter」の開発で知られている。中国がフィルタリングソフト導入義務づけを発表した後、当該ソフトウェアの調査を行っていた米ミシガン大学(University of Michigan)の研究者らが、CyberSitterで使用されているブラックリスト処理に関するコンポーネント等の存在を発見したという。Solid Oak Softwareでは現在、PCメーカーらにソフトウェアの導入を止めるよう働きかけているという。

 一方で、問題となったソフトウェア「Green Dam-Youth Escort」を開発した中国メーカーのJinhui Computer System Engineeringでは、プログラム盗用を否定するとともに「不可能な話だ」とコメントしている。

『批判書かず 世論誘導を』 検閲ソフト強制へ通達

2009年06月12日 東京新聞 朝刊

 【北京=平岩勇司】中国で販売するパソコンに政府指定の「検閲ソフト」搭載を義務付ける当局の措置に対し、マスコミを管轄する共産党中央宣伝部が各メディアに「批判記事を書かず、検閲ソフト支持に世論を誘導する」よう、通達したことが十一日、関係者の話で分かった。

 政府への批判を封じ込める中国の情報統制の実態が、あらためて浮かび上がった。

 検閲ソフトは、当局が「有害」とみなすサイトを検索すると自動的に接続を遮断する仕組み。「青少年の健全育成」の名目で七月一日以降に出荷するパソコンが対象。九日に発表されると、ネット上では「人権侵害だ」「民主化情報を遮断する狙い」と批判が出ている。

 これに対し、宣伝部の十日の通知は、各メディアに「旗幟(きし)鮮明に未成年の成長を保護する措置を支持すること」を要求。検閲ソフト搭載措置に批判的な記事の掲載を禁じたうえ、「各メディアが管理するサイトの書き込み欄で、措置に対するユーザーの攻撃的意見を排除する」ことも求めた。

 また、「市民の疑問解消に努める」ため、専門家、父母らを登場させて検閲ソフト賛同キャンペーンを実施するよう指示。これらは「中央指導部の指示の精神に基づく」としている。

 通達を受けたのは、中国国内の新聞、テレビ、ネット媒体など。通達は各メディアの幹部らを集め、口頭で伝えたとみられる。

 十月の建国六十周年を控え、当局は社会の安定を最重要課題と位置付けている。北京市内に昨年の北京五輪並みの厳戒態勢を敷く一方、情報統制も徹底する考えだ。

外交部が「検閲ソフト」搭載に関する意見・批判に反駁

2009/06/11 Searchina

 外交部の秦剛報道官は定例記者会見で、『中国国内で生産・販売されるパソコンは出荷前に検閲ソフトを搭載しなければならない』点について、「世間の人々にこの措置の目的を正しく理解してもらいたい。これは社会に有害な情報がインターネットで広まることを避けるためだ」と述べた。

 ある外国人記者が「ウォールストリート・ジャーナル」の関連報道を証明してほしいと質問すると、秦剛報道官は直接それには答えず、2つのことをその記者に問い返した。

 「このソフトウェアが何のソフトウェアか知っているか?きっと知っているだろうと思うが、インターネットでポルノなどの猥褻な情報や暴力的な情報をフィルタリングするものだ。あなたには子供がいるか?もうすでにいるか、あるいは今後ほしいと思っているのであれば、インターネットで有害な情報が広がることを多くの保護者が心配し関心を持っていることが理解できるだろう」と語った。

 また秦剛報道官は、「中国のインターネットはオープンで、中国政府はインターネットの健全な発展を積極的に推進している。しかし法律に基づいてネットワークを管理する必要があり、その目的は社会に有害な情報が広がることを避けるためだ」と指摘した。

 工業情報化部が発表した情報では、7月1日以降に中国で販売される全てのパソコンにフィルタリングのソフトの搭載が義務付けられ、輸入製品も中国での販売前に搭載しなければならないとされている。またパソコンメーカーやソフトウェアの提供者もパソコンの売上台数とソフトウェアのインストール数を定期的に報告する必要がある。

 フィルタリングソフトウェアを開発した金恵公司の張晨民総経理は、「パソコンの生産者はこのソフトウェアを必ず提供しなければならないが、ネット利用者は自由にアンインストールすることができる」と説明、フィルタリングソフトウェアは強制的にインストールされるものではないとしている。(情報提供:チャイナネット)

中国がパソコンメーカーに有害情報遮断を義務付け

2009/06/09 Fuji Sankei Business-i

【北京=矢板明夫】中国政府は7月1日から、国内で販売するすべてのパソコンに対し、有害サイトへの接続を遮断する政府指定の検閲ソフトの取り付けを義務付ける。「青少年の健全育成が目的」としているが、有害サイトについての定義はあいまいで、国民に見せたくない外国メディアの報道や共産党、政府を批判する書き込みなどが含まれるとみられる。胡錦濤政権が近年、力を入れてきた情報統制強化の一環で、中国での表現の自由は今後、さらに抑制される。

 中国紙「南方都市報」などによると、中国工業情報化省はこのほど、国内の各パソコンメーカーに対し、7月1日以後に出荷するパソコンに検閲ソフトの取り付けを求める通達を出した。輸入パソコンにも同様に義務付けるという。検閲ソフトは同省が4200万元(約5億8000万円)を出資し、北京市と河南省にあるソフト会社2社に委託し開発したというが、いずれも治安を担当する国家安全部の関係企業だと報じる欧米メディアもある。

 検閲ソフトは、政府が有害と認定したキーワードやワイセツ画像が含まれるサイトへの接続が自動的に遮断されるほか、閲覧サイトのすべてがソフトに記録され、公安当局が国家機密漏えいや政府批判の書き込みをした人物を摘発する際にも使われる可能性がある。当局の指示で、5月までに全国の小中学校やインターネットカフェのパソコン計5000万台に取り付けられたという。

 中国では、インターネットを通じ政府発表と異なった情報が一般国民に流れることを当局が恐れ、2000年以後、ネットの規制を強化する条例や規定などをいくつも出してきた。しかし、ネット利用者の急増にうまく対応できず、政府が期待する効果は得られていないようだ。中国政府筋によると、昨年12月、一部知識人による共産党一党独裁の終結を求める「08憲章」がネットで発表され、多くの市民が署名したことが当局に衝撃を与えたという。

 今回の検閲ソフトの取り付け義務化の対象は、一般市民が持つ個人のパソコンにも拡大し「情報統制の究極対策」ともいわれるが、インターネットの各掲示板では、検閲ソフトの削除法など、規制の抜け道探しについての情報交換や議論が起きている。当局と市民の間でのいたちごっこはすでに始まっているようだ。

中国でオンラインゲーム市場爆発(上)

2009/05/10 朝鮮日報/朝鮮日報日本語版 成都(中国四川省)=崔炯碩(チェ・ヒョンソク)記者

「金の卵」狙う韓国企業

 中国南西部の四川省成都市で今月1日、インターネットカフェを訪れた。メーデーの休日の午後だけあって、約100席ある店内は)若い男女で埋め尽くされていた。半分以上の客はオンラインゲームにはまっていた。ゲームに没頭する若者の口からは時折、「あっ!」という声が漏れた。朝鮮族のキム・ミョンリョンさん(26)は、「4月に発売された韓国のオンラインゲーム『アイオン』で最近は徹夜している。中国のゲーム愛好者は韓国のオンラインゲームの美しいグラフィックと豊かなストーリーを好んでいる」と話した。

 13億の人口を抱える中国が「金の卵」を産むオンラインゲーム市場として急浮上している。インターネット人口が急速に増え、オンラインゲームが中国の若者の間に旋風を巻き起こしている。巨大中国市場を狙う世界のゲーム業者の競争が繰り広げられる中、現在は韓国企業が優勢だ。オンラインゲームの「宗主国」と呼ばれる韓国のゲーム業者だけで、中国のオンラインゲーム市場の50%以上を占めている。未来アセット証券は6日、中国市場を追い風に韓国のオンラインゲーム業者が日本のゲーム大手、任天堂に追い付くとの分析を示した。

 韓国を追うのは日米企業だ。中国のオンラインゲーム市場はまだ初期段階にあり、韓国の独走が可能だが、今後は他国企業との競争が激化する見通しだ。

◆爆発的に増えるユーザー

 NCソフトは先月16日、サーバー47台体制で「アイオン」のサービスを中国で正式に開始した。そして、中国のゲーム愛好者の爆発的な反響を受け、同社は1週間後にサーバーを88台に増やした。今月6日現在でサーバーの数は113台にまで増えた。現在、同社が韓国に設置しているアイオン用のサーバーは42台で、中国の3分の1にすぎない。

 中国のインターネット利用者数は2002年の5910万人から08年には2億9800万人へと5倍以上増えた。2億2000万人の米国を抑え、世界最大のインターネット利用国に浮上した。「IT(情報技術)大国」韓国の利用者数の実に8倍に当たる。また、中国の超高速インターネット加入者数は02年に330万人にすぎなかったが、08年には8188万人へと25倍に拡大した。

 オンラインゲーム市場も雪だるま式に拡大し、市場規模は11年には60億3000万ドル(約5980億円)となり、03年の2億3140万ドル(約230億円)に比べ26倍に達する見通しだ。

中国でオンラインゲーム市場爆発(下)

2009/05/10 朝鮮日報/朝鮮日報日本語版 成都(中国四川省)=崔炯碩(チェ・ヒョンソク)記者

「金の卵」狙う韓国企業

◆上位圏占める韓国企業

 このように中国のインターネット市場が爆発的に拡大するや、オフラインゲームに力を入れていた日米も遅ればせながら中国企業と提携し、中国のオンラインゲーム市場に参入している。米ゲーム業者のEAは韓国のネオウィズ・ゲームズと提携し、オンライン版「FIFA」ゲームで先月22日に中国市場に進出した。日本のテクモも、中国のオンラインゲーム大手の上海盛大網絡発展と共同でオンライン格闘ゲームのサービスを開始した。

 しかし、韓国のゲームに比べ、市場の反応は今一つだ。未来アセット証券によると、5月のトラフィック(同時最多接続者数)ベースで中国市場のオンラインゲーム上位10位の内訳は韓国6、中国3、米国1の順だった。韓国はオンラインゲームでの競争力を備えている上、文化的に中国と近いことが有利に働いている。中国市場進出を追い風にネオウィズ・ゲームズの海外からの権利料収入は1−3月期に116億ウォン(約9億1500万円)に達し、前年同期の6億ウォン(約4700万円)をはるかに上回った。

◆中国のオンラインゲーム市場は初期段階

 中国のオンラインゲーム市場は第一歩を踏み出した段階だ。韓国、米国、日本など主要国ではインターネットの利用率が70%に達しているが、中国ではまだ22.5%にすぎない。だが、2011年の中国のインターネット利用者数は4億8300万人に達するとみられる。また、有料オンラインゲーム利用者数は11年までに8000万人に増え、60億ドル(約5950億円)規模の市場を形成するとみられる。現在は韓国が勝者だが、今後の市場拡大に伴い、ライバル国の企業による挑戦が強まる見通しだ。こうした中、成都市は今年11月に開かれる世界的ゲーム大会の第11回ワールド・サイバー・ゲームズ(WCG)を誘致した。四川省招商引資局の呉顕奎副局長は、「世界80カ国から集まるオンラインゲーム愛好者たちの視線が成都に注がれることになる」と述べた。

中国、ユーチューブ接続遮断 暴動動画と関係?

2009.03.25 MSN産経新聞

 中国当局は米検索大手グーグル傘下の動画投稿サイト「ユーチューブ」への国内からのアクセスを遮断した。グーグルの広報担当者の話としてAP通信などが25日までに報じた。

 アクセスが遮断されたのは23日ごろ。担当者は理由について明らかにしていないが、同サイトにはチベット自治区ラサで昨年3月に発生した暴動の際、警官に暴行され死亡したとされるチベット民族の男性の映像などが最近投稿されている。

 この映像について新華社は24日、チベット亡命政府関係者が提供したもので、場面をつなぎあわせてつくった偽物だとのチベット自治区当局者の話を伝えている。(共同)

スカイプのチャット内容、中国が検閲か

2008/10/04 朝鮮日報/朝鮮日報日本語版 李竜洙(イ・ヨンス)記者

 世界で3億3800万人が利用しているインターネット電話サービス「スカイプ」でやり取りされる文字チャットの内容が中国で検閲されていたことが判明した。

 カナダ・トロント大学のコンピューター・セキュリティー研究チームは、中国がスカイプユーザーの文字チャット内容を監視したり、音声通話の個人情報を把握したりしており、政治的にデリケートな内容を含むメッセージを遮断した後、サーバーに貯蔵するシステムが存在すると指摘した。3日付インターナショナル・ヘラルド・トリビューンが報じた。

 電子商取引世界最大手イーベイの子会社スカイプは、2005年9月に香港の実業家、李嘉誠氏が保有するトム・オンラインと「トム・スカイプ」という合弁会社を設立し、中国市場に進出した。トム・スカイプのユーザー6900万人には、中国当局のインターネット検閲を避けるために登録したユーザーが多数含まれている。スカイプは通話内容を暗号化する技術が優れており、不法な盗聴などに対し安全だという評価を受けていたためだ。

 しかし、トロント大研究チームは、中国で販売されるトム・スカイプのソフトウエアには「民主主義」「共産党」「ダライ・ラマ」「法輪功」など使用禁止単語リストが暗号化されて含まれていることを明らかにした。ユーザーがこうした単語を使おうとすると伝送が遮断されるだけでなく、コピーされてトム・オンラインのサーバーに送られる。このサーバーには問題となる単語を使った人物の個人情報が残り、チャットのログが全て記録される。外国からチャットに参加した人物の情報も同時に保存される。

 研究チームは先月、こうしたサーバー8台を発見し、ユーザー4万4000人から収集した16万6000件のメッセージが保存されていることも確認した。研究チームは誰がこうした監視システムを運営しているのかは分からないが、推測として、中国の警察と協力関係にあるトム・オンラインが運営者だと疑われるとしている。

「正常な情報」だけ接続可 中国、ネット規制認める

2008年07月29日 中国新聞ニュ−ス

 【北京29日共同】中国外務省の劉建超報道局長は29日の定例記者会見で、北京五輪を取材する国内外の報道陣の拠点となるメーンプレスセンター(MPC)で一部の海外ウェブサイトにアクセスできない問題に関して、「正常な情報」だけがアクセス可能だと述べ、ネット規制実施を事実上認めた。

 劉局長は「正常な情報」の具体的内容には言及しなかったが、民主化運動や宗教問題などに絡んで中国当局にとって都合の悪い情報へのアクセスは、五輪施設であっても規制している実情が浮き彫りになった。

 劉局長はアクセス規制対象の具体例として、中国が非合法化している気功集団「法輪功」のサイトを挙げ「法輪功は邪教組織。彼らの宣伝情報は当然禁止される」と明言。「正常な情報」については「記者も観衆も選手もアクセスを保証されている」と強調した。

 しかし、英BBC放送の中国語サイト、チベット支援団体や国際人権団体組織のサイトなどがMPCで29日も閲覧できなかった。

中国のブロードバンド人口世界一 初めて米国抜く

2008年06月07日 中国新聞ニュ−ス

 【ジュネーブ7日共同】中国(香港、マカオ、台湾除く)のブロードバンド(高速・大容量)インターネット契約者数が2007年に6646万人を超え、米国(6052万人)を抜いて初めて首位となったことが6日、国際電気通信連合(ITU)のまとめで分かった。

 中国では都市部を中心にネット人口が急速に伸びており、インターネット検索会社「百度(バイドゥ)」は今年1月に日本での本格サービスを始めるなど、世界シェアは米国のグーグル、ヤフーに次ぎ第3位。

 通信速度が毎秒256キロビット以上のブロードバンド利用者は06年、米国の5814万人に対し、中国は5092万人だった。日本は07年が2830万人だが、人口100人当たりの契約者数では22人と中国の5人、米国の20人を上回っている

中国ネット人口2億2100万人 米抜き世界最大

2008.04.24 MSN産経新聞

 中国インターネット情報センター(CNNIC)によると、中国のインターネット人口は、3月31日までに2億2100万人となり、米国(07年末2億1600万人)を抜いて、世界最大規模のネット大国となった。中国のネット人口は昨年末で2億1000万人で3カ月で1100万人増加したことになる。普及率は全人口の16%と世界平均(19・1%)より低いが、「第5回中国国民閲覧調査」によれば、活字に触れる媒体としてネットは新聞、雑誌に次ぐ3位。また、ブロードバンドの普及率は昨年末の段階でネット人口の77・6%。30歳以下のユーザーが全体の約7割を占める。(北京 福島香織)

チベット暴動:中国政府、インターネット対策に躍起

2008/04/03 朝鮮日報/朝鮮日報JNS 北京=李明振(イ・ミョンジン)特派員

 チベット暴動に対する武力鎮圧が国際社会の非難を浴び、北京五輪をボイコットすべきという世論が広がる中、中国政府は難しい対応を迫られている。このままでは五輪を成功裏に開催できないという危機感からインターネットに対する規制を強化し、チベットの精神的指導者ダライ・ラマと外国メディアを連日攻撃している。

 チベット自治区の区都ラサで流血デモが起きた3月14日以降、世界的な動画サイト「ユーチューブ」への接続ができなくなった。中国国内でも25の動画サイトが閉鎖され、インターネットでは国営中央テレビ(CCTV)が提供する動画しか見られない状態だ。チベット亡命政府のウェブサイトはもちろん、台湾の一部メディアのサイトにも接続ができない。

 西側世論に対抗するウェブサイトも急増した。特に反CNNサイトには毎日50万人がアクセスし、中国メディアは同サイトを「西側の歪曲(わいきょく)に対する中国人の憤怒を伝えている」と持ち上げている。

 中国公安省は1日、今回の暴動はダライ・ラマ勢力が昨年5月から綿密に計画した「チベット人民蜂起運動」だとして、「次の計画は自殺テロだ」との見方を示した。公安部は「一部の寺や僧坊から銃176丁、実弾1万3000発余り、爆薬3504キログラムなど殺傷武器が押収された」と発表した。しかし、公安部は押収した武器のうち、拳銃1丁と刀数十本だけを公開した。

 1日付台湾紙・聯合報は、新疆ウイグル自治区のホータン市でも3月23日、大規模なデモが発生したと伝えた。同自治区はイスラム教徒のウイグル族が多く、中国で分離独立運動が最も活発な地域だ。

中国、世界一のネット大国へまっしぐら…トップの米に肉薄

2008/02/15 FujiSankei Business i.

ユーザー数53.3%増の2億1000万人

 中国のインターネット業界団体である「中国インターネット情報センター(CNNIC)」がまとめた調査報告によると、2007年末時点の中国のネットユーザーは2億1000万人に達し、世界トップの米国に500万人差まで迫った。前年比53・3%の増加で、CNNICは今年中にはユーザー数で米国を抜き、世界一のネット大国になると予想している。

 中国では10%を超える経済成長に伴う所得向上を背景にネット利用が急激に拡大。昨年は新規にネットを始めた7300万人のうち、4割に当たる2917万人が農村居住者だった。

 ウェブサイトは前年比78・4%増の150万、携帯電話によるネットユーザーは5040万人だった。

 ネット普及率は06年末の10・5%から16・0%に上昇した。世界平均の19・1%には及ばす、70%近い米国、日本とは大きな開きがあるが、首都北京は46・6%、上海は45・8%、広東省35・9%と沿海都市部は高い水準だった。(北京 時事)

中国「ネット中毒」中学生が大幅に減少…23.2%→7.5%

2008/02/15 FujiSankei Business i.
青少年規制が奏効

 中国青少年インターネット協会が、インターネットゲームやチャットにおぼれる「ネット中毒」の青少年に関する意識調査(2007年)を実施した結果、「ネット中毒」と答えた中学生は7・5%にとどまり、05年の23・2%を大幅に下回った。中国青年報などが伝えた。

 中国は昨年、18歳未満のインターネットカフェ立ち入りを禁止。ゲームにおぼれないよう呼び掛ける教育宣伝活動も積極的に行っており、同紙は一連の措置が効果を発揮したと指摘した。

 また「ネット中毒」と答えた無職の青少年は05年を4・5ポイント下回る16・5%。調査対象全体でも05年を3・5ポイント下回り9・7%だった。

 調査は上海、重慶、広州など12都市の中学生から社会人までを対象に行われ、有効回答数は約2万1000件。(北京 共同)

5割が政府検閲「不必要」 中国、ネット利用者調査で

2007年08月24日 The Sankei Shimbun WEB-site

 【北京24日共同】中国政府によるインターネット上の言論検閲に対し、中国のネット利用者の5割が「不必要」と考えていることが24日までに分かった。調査を実施した北京大学公共政策研究所は、ネット管理の体制改革が必要との提言を政府に行った。

 中国政府はネット上のブログや検索サイトの規制を強化。ポルノ関連などのほか、政府・共産党の政策に対する批判も規制の対象にしており、こうした規制強化に利用者が不満を強めている実態が浮かび上がった。

 同研究所によると、調査は北京など4都市で18−70歳の4000人を対象に実施、3774人から有効回答が得られた。このうち50・0%がネットは民意表明にとって「重要な手段」と回答、政治問題など「敏感なテーマをネット上で討論する」と答えた人は31・9%だった。

米人権団体、ヤフーを提訴 中国の要請に応じ個人情報流す

2007/04/23 The Sankei Shimbun WEB-site

 【ロサンゼルス=松尾理也】中国民主化を呼びかけたインターネット上での活動についての個人情報を中国当局に流したため、活動家が逮捕、投獄されたとして、米国の人権団体はこのほど、米インターネット大手ヤフーを相手取り損害賠償を求める訴えを、北カリフォルニア連邦地裁に起こした。中国市場への進出を競うネット大手各社は、たびたび中国当局が要請する検閲への協力が批判されてきたが、ネット大手が中国進出をめぐり、人権問題で訴えられたのは初めて。

 訴状によると、現在中国の刑務所で服役中の活動家は、2000年からヤフーのサービスを使用して、民主化と複数政党制の導入の必要を訴える記事を配信していた。

 この活動をめぐり、米ヤフーの子会社であるヤフー香港が、活動家の身元が特定できる情報を中国当局に提供したため、02年に当局に逮捕され、その後懲役10年の判決を受けたという。

 ヤフー香港が情報を流した事実は、活動家の裁判記録から特定できるとしている。

 一方、パリ発行の国際紙、インターナショナル・ヘラルド・トリビューンによれば、ヤフー側は「ヤフー香港が中国当局と情報のやりとりをした事実はない」としている。しかし同社は、一般論としては中国で事業を行う企業は現地の法律に従う必要があるとした上で、「ヤフー中国が当局から正式に情報の提供を求められた場合、それが正当な犯罪捜査に用いられるものか、政治的な意図を含むものかは判別しようがない」とも述べている。

 中国でのインターネット規制をめぐっては、昨年2月、米下院で開かれた公聴会で、ヤフーやグーグル、マイクロソフトなど大手4社が、中国政府の言論弾圧や民主活動家逮捕に協力したとして厳しい批判が上がった経緯がある。

 またヤフーは、05年にもメディア監視団体「国境なき記者団」から、「メール情報を当局に流したため、中国のジャーナリストが逮捕された」と指摘された経緯があり、今回の提訴でさらに批判が強まりそうだ。

<台湾地震>中国のネット通信にも打撃 海底ケーブル損傷で

2006年12月29日 毎日新聞 YAHOOニュース

 【台北・庄司哲也】台湾で26日夜に発生した地震による海底ケーブルの損傷は、中国にも大きな影響を与え、一時は中国の97%のインターネット・ユーザーが海外サイトに接続できないなどの問題が発生した。地震は中国の国際通信網が、台湾南部を通る海底ケーブルに依存している状況を明らかにした。中国のユーザーからは「台湾人は、ついに中国に対処する最も良い方法を発見した」という皮肉交じりの声も上がっているという。

 台湾の大手通信会社「中華電信」によると、今回の地震で、台湾近海にある4本の海底ケーブルが損傷し、上海や中国南部に通じるケーブルも影響を受けた。この結果、中国では27日早朝から台湾、米国、欧州などへの通信回線が影響を受け、被害は北京、上海、重慶など広範囲に及んだ。今回の台湾の地震は、中国の思わぬ「弱点」を浮かび上がらせた格好となった。

 28日付の台湾紙「聯合報」は「中国のインターネットの安全は台湾が握っている」などと伝えた。

台湾地震 有線…ネット社会のもろさ

2006年12月29日 産経新聞 YAHOOニュース

 【シンガポール=藤本欣也】26日に台湾南部沖で発生した大型地震は、アジアの南北を結ぶ海底ケーブルなどを損傷させ、東アジアや東南アジア各国でインターネットや国際電話が一時不通になるなどの二次被害が広がっている。スマトラ沖地震とインド洋大津波からちょうど2年目に起きた地震は、インターネット社会のもろさと弱点をさらけ出した。

 「今回、アジアを襲ったのはデジタル時代に対するツナミだった」。28日付の国際紙、インターナショナル・ヘラルド・トリビューンはこう評した。確かに、台湾で起きた地震による通信障害は日本、韓国、中国本土、香港、シンガポール、フィリピン、マレーシア、タイなど各国に、まるで津波が押し寄せるように広がっていった。 韓国では、海底ケーブルの損傷により、通信最大手、KTの顧客32社がインターネットや国際電話が一時つながらないなどの被害を受けた。大半が金融機関だったが、政府の中枢である外交通商省にも影響が広がり、関係者を慌てさせた。

 香港では、固定通信最大手のPCCWのデータ通信の容量が一時50%まで低下。特別行政区政府は28日、「緊急でない国際電話や不必要なインターネットは利用しない」ことを住民に求める緊急声明を発表した。香港国際空港の台湾系航空会社のカウンターでは、コンピューターのシステム障害を併発し、100人以上の行列ができるなど混乱が続いた。

 中国本土でも北京などでインターネットや国際電話が通じにくくなるなどの被害が出たが、ロイター通信によると、中国政府は「海底ケーブルの通信情報は国家機密に属する」(通信当局)として詳細を明らかにしていない。

 シンガポールでは、政府が「金融や株式市場に混乱は起きていない」と表明しているものの、「インターネットがつながりにくいため、トレーダーらの情報が制限されたり、アクセス可能なパソコンで株価を自由にチェックできなかったりするなど、目に見えない影響は計り知れない」(市場関係者)。海外にいる顧客と連絡が取れず、取引できなかったケースも少なくないという。

 また、シンガポールのある日系企業関係者は、「メールの送受信に支障が出るなどで仕事が進まず、開店休業状態。ビジネスがインターネットに支えられていることを思い知らされた」と話す。

 28日付の米紙、ウォールストリート・ジャーナル・アジア版は「世界有数の地震地帯でありながら海底に脆弱(ぜいじゃく)なケーブルが走り、また、急速に経済成長を続ける地域ゆえに情報通信の需要が増え続けているアジアで、危険が高まっている」と警鐘を鳴らしている。

中国、ネット音楽を統制 文化侵略阻止狙う

2006/12/13 The Sankei Shimbun

 【北京=福島香織】中国文化省は12日、インターネットを通じた音楽サイトの管理規制方針を初めて発表した。ネット音楽による知的財産権侵害防止のほか、今年打ち出された「文化発展計画綱要」を受けた文化統制強化の一環とみられ、外国音楽による文化侵略阻止やネット音楽の国産化推進といった狙いもうかがえる。

 管理規制では、ネット上の音楽配信サイトなどは2007年3月1日までに、文化省の審査と許可を得なければならないとし、外資の参加を禁止している。また、音楽は「民族精神を体現し時代の特徴を反映する独創的なもの」であることを求めており、規制対象は欧米や日本の「低俗な」ロックやポップス、社会不満や矛盾を揶揄(やゆ)した替え歌などに及ぶ可能性がある。

 新華社通信(電子版)によれば、中国のネット音楽産業は昨年、36億元(1元=約15円)の収益をあげ、伝統的なレコードやCD産業の収益(27億元)を大きく上回っている。当局は、こうした成長産業を国産化することで、経済的利益も期待しているようだ。

 ただ、ネット業界関係者らは「今回の規制はネット音楽創作の才能や意欲をつぶしかねない」と危機感をもっており、当局の音楽統制はむしろ中国独自のネット音楽の成長を阻むものと受け取られている。

中国のブロードバンド人口、7700万人に

2006/10/26 IZA

■情報監視の思惑、どこまで通用?

 中国共産党の機関紙である人民日報は、中国のインターネット利用者のうちブロードバンド(広帯域)の利用者数が今年6月末段階で7700万人に上ったと伝えた。ネット利用者総数は1億2300万人。一方、国営新華社通信は、中国の公安当局が9月、320以上の“有害な”ウェブサイトをネット上で強制閉鎖したと伝えた。大量の情報が受け取れる広帯域ネット利用者の急増にどこまで情報監視の網が追いつくか。量と質のアンバランスなネット社会が中国で膨張している。(河崎真澄)

 ≪内陸西部では遅れ≫

 情報産業省が明らかにしたところよると、6月末段階のサイト数は78万8000件、ネット接続が可能なコンピューター数は5450万台。一方で同省は、ネット技術やサービス形態などの急速な発展とは裏腹に、地域別の普及では上海市など沿岸東部地区に集中、内陸西部地区では大幅に遅れていると指摘した。

 さらにインフラ建設面で沿岸東部の都市でネット環境は完備されつつあり、今後数年でブロードバンド関連産業が成熟するとの見通しも明らかにした。ただ、成都、重慶などの大都市を除く内陸西部地域では、ブロードバンドはほとんど普及しておらず、ネット普及率も極めて低いという。

 ≪個性化と双方向化≫

 また中国インターネット協会では、「中国のネット利用は多様性を帯びてきた」として、ブログなど新しい用途と、それに伴った広告などビジネスの成長が始まったとしている。ネットの個性化と双方向化が一段と進むとみている。同協会がまとめた「2006年中国ブログ調査報告」によると、中国のブログ作成者は1700万人、読者は7500万人、月1回以上更新するブログ作成者は770万人という。

 ブログを利用した中国のビジネスモデルはまだ明確ではないが、同調査報告では、ブロードバンド普及による高速大容量化などから、ブログ作成者の約4割が広告を「受け入れられる」と回答した。同協会はブログについて広告主が検討する段階に来たと指摘した。

 しかしネット利用者の急増と利用方法の幅が広がる中で、ネットを監視する「ネット警察」は数万人いるとされ、公安当局の強力なネット監視プロジェクトも進行中という。中国のメディア規制は、米国のヤフー、グーグルなど大手情報産業までも「検閲」で屈服させるほど強力で、メール内容まで目を光らせる。

 ≪検索できぬ“政治”≫

 グーグルでは「台湾独立」「天安門事件」「ダライ・ラマ」など、中国当局にとって敏感な政治問題を検索することが技術的にできなくなっており、当局が一元的に情報管理するシステムだ。

 ビジネスでのネット利点を追求する一方で、情報監視は強化したいとの当局の思惑がどこまで通用するか。一党独裁政権に「両刃の剣」ともなるネット動向に、国際社会の目が集まっている。<ビジネスアイ>

中国「ネット環境浄化月間」で「有害」サイト閉鎖続々

2006/09/17 The Sankei Shimbun 東京朝刊から

 【北京=福島香織】中国公安省は9〜10月を「インターネット環境浄化月間」と位置づけて、有害サイトの取り締まりを強化している。国営新華社通信によれば、今月6〜8日の3日間で320以上のサイトを閉鎖し、閉鎖されなかったサイトでも1万5000以上の有害情報が強制削除された。中国では来年秋の第17回共産党大会に向け、権力基盤固めの節目となる第16期中央委員会第6回総会(6中総会)を10月に控え、今月から各メディアに対する統制強化が一斉に始まっている。

 新華社によると、公安省のサイト取り締まり対象は「短銃や爆発物などの違法販売サイト」「詐欺サイト」「賭博、宝くじサイト」などを具体例として挙げているが、実際は「国家の規定に違反する情報発信サイト」すべてが対象になる。

 中国では9月、外国通信社の中国配信記事に関する管理規定が施行され、続いて今後5年のイデオロギー管理、メディア統制強化を盛り込んだ「国家文化発展計画綱要」も公布。メディア全体の統制・管理の一斉強化が大展開されている。

中国、320サイトや「有害情報」1万5000本削除

2006/09/16 The Sankei Shimbun 東京朝刊から

 15日の新華社電によると、中国の公安当局は6日から8日までに、320以上のウェブサイトとインターネットコラムを閉鎖するとともに、1万5000本に上る「有害情報」をネットから削除した。閉鎖処分にされたサイトでは、賭博経営や銃器・爆発物の販売、あるいはネットを利用した詐欺などが行われていたという。(北京 時事)


電子メールの検閲認める 中国大手ポータルサイト

2006/09/01 The Sankei Shimbun東京朝刊から

 1日付中国系香港紙、大公報によると、中国の大手ポータルサイト捜狐網と新浪網の関係者は、両サイト経由の電子メールを検閲し、内容によっては送受信できなくしていると認めた。

 同関係者は、検閲は情報産業省の規定に基づき、規制対象となる「敏感な情報」は時期により異なることなどを明らかにした。

 同紙によると、情報産業省は今年初めから規制を実施。別のサイトでも「メールは敏感な情報を含むため発信を拒否されました」と表示され、送受信できないケースがあるという。(共同)

【中国でパソコンを守る】社員のデータ持ち出しに注意

2006/08/10 NIKKEI NET

 インターネット人口が1億2000万人を超えるといわれる中国。オフィスやホテルでインターネットは当たり前のように使えるが、それだけに情報セキュリティー対策には十分気をつけたい。「中国は迷惑メールの発信元として米国に次ぐ世界2位」(トレンドマイクロ調べ)といった数字を見ると不安になるが、基本的な対策が肝心。併せて、中国ならではのネット事情を理解しておくことも必要のようだ。

 三菱商事の子会社で、中国で情報セキュリティー事業を手がける上海菱威深信息技術の田代浩司総経理は「個人のパソコンのウイルス対策まできちんと管理してくれる担当部署が置かれていない場合が多い」と現地の日系企業の現状を指摘。「自分のパソコンの安全は自分で守る」ぐらいの心構えが必要だという。

 田代氏は「必ずパソコンにウイルス対策ソフトを入れ、サイバー攻撃やウイルス対策を徹底すべき」と基本動作の重要性を強調。「インターネットは世界共通。基本を忘れずにいれば過度に心配する必要はない」と話す。独立行政法人の情報処理推進機構(IPA)で情報セキュリティーの啓発活動を担当する普及グループリーダーの石井茂氏も、「最新のウイルス対策ソフトの搭載」「機密情報の漏えい防止」「OS(基本ソフト)のアップデート」の3点の基本を強調する。

 ただ、中国で多いのはパソコン自体の盗難。日本ほど入退室管理をきちんとしていないオフィスも多く、社内に置いていても安心できるとは限らないようだ。

 顧客の個人情報などが入ったパソコンが盗まれると情報流出事件につながる一大事。中国ではまだパソコンの中身よりはハードウエアそのものを目的とする盗難が多いが、今後はブラックマーケットでの「顧客データの売買などが始まる可能性」(田代氏)もあり、機密情報や個人情報の管理には気をつけたい。中国政府も知的財産保護や情報セキュリティーの強化に乗り出しているものの、会社に損害を与えた社員を訴えるなどの対応は難しいという。

 機密情報の漏えいについては内部の人間による犯罪が多いといわれているが、中国では特に社員の意識の違いから注意すべきことがある。田代氏は、現地の採用面接に訪れた中国人が、前の職場での自分の業務成果をアピールするために、勤めていた会社の顧客名簿や持ち出し禁止の提案書、見積書などを平気で披露する場面を目の当たりにすることがあるという。

 日本ではあまり考えられないことだが、社内データは誰のものかといった認識のずれなどから、会社の機密情報が同業他社などに漏れてしまう恐れがあるのだ。田代氏は「上海では離職率が約2割。5年で従業員が入れ替わるという前提で情報管理の仕組みを考えるべき」と指摘。ルールを守るように雇用契約に情報持ち出しの罰則規定を盛り込むなど会社全体での取り組みが必要だという。 (8月10日/NIKKEI NET 重森泰平)

中国、ネット規制巧妙化 “抜け道”ブラウザに対抗

2006/07/25 The Sankei Shimbun東京朝刊から

 【北京=福島香織】中国が国家プロジェクトとして進めているネット規制システム「金盾」をバージョンアップし、パソコン別検閲が可能となるなど、より巧妙化している。

 中国ではこの春から初夏にかけてMSN、hotmailやグーグル、国内大手検索サーチエンジンの新浪、捜狐などが相次いでアクセス障害やサービス停止になっていた。関係者は、これをネットを規制するという政策のために必要なバージョンアップ作業、検閲対象用語の増加のためとしていた。

 しかし、金盾プロジェクトの技術関係者によれば、今回のバージョンアップは単なる検閲対象ワードの増加だけでなく、システム自体が進化したという。これまでは検閲対象用語をもとに、サイトへ一律に接続遮断を行っていたが、今後はパソコンのIPアドレス(ネット上の識別番号)ごとに、アクセス履歴を解析、そのユーザーの政治的傾向を分析した上で接続の可否を判断していくという。

 たとえば娯楽サイトしかアクセスしていないパソコンが、「人権」という用語で検索したり、人権サイトにアクセスしたりしても問題ないが、チベットやウイグル族関連のサイトにアクセスし続けたあとに接続しようとすると、遮断される仕組みになるという。

 これだと、同じサイトでも接続できる人と接続できない人が出て、特定の用語やサイトがアクセス禁止の対象となった印象を与えにくい。遮断された方も接続できないのはネット規制によるものではなく、自分のパソコンやサーバーの調子が悪いためだと納得してしまいがちだ。ユーザーに検閲されていると気づかせないように、巧妙にネット規制を実施するのが狙いだ。

 こういった当局のネット規制の巧妙化の背景には、規制が厳しくなるほど、その対抗システムが発達するという状況がある。たとえば、北京のソフト会社が03年に発表したプロキシ機能を持つ中国製フリーウエアブラウザ「傲游(Maxthon)」は本来、過剰なネット広告のフィルタリング機能が売りだった。

 が、同ブラウザを使えば、当局が行うネット規制が回避できることがわかり、それが人気を呼んだとみられ、「中国国内で約3600万回(全世界では6000万回以上)もダウンロードされ、少なくとも中国のネットユーザーの17%以上が利用している」(傲游広報)という。

 中国インターネット情報センターによれば6月末までに、中国のネット人口は1億2300万人に達し、ネット普及率は9.4%。半年前1500万人だったブロガーは2800万人となり、一大情報発信源となっている。

中国、ブログ・検索エンジンの規制強化

2006/06/30 The Sankei Shimbun(共同)

≪「不健全情報」一掃と≫

 29日の新華社電によると、中国政府はインターネット上のブログ(日記風サイト)や検索エンジンの規制を強化する方針を決めた。国務院新聞弁公室の蔡武主任は28日の会議で「ブログや検索エンジンを通じて違法な情報や不健全な情報がまん延しているため、規制に向けて効果的な措置を取る」と表明した。

 中国のブログサイト数は既に3600万件を超え、年内に6000万件に達する見通し。検索エンジンもネットユーザーの87%に相当する9700万人が利用している。中国はこれまでも、政府・共産党の政策に反対する意見を掲載しているブログは個別に閉鎖するなどの措置を取ってきたが、本格的な規制に乗り出す。

 中国の検索エンジン各社は既にポルノ関連などの自主規制措置を導入しているが、蔡主任は「効果的な管理なくしては市場も発展しない」と述べ、ブログサイトの認可基準も導入する考えを表明。これに合わせて、電話契約者の実名登録やすべてのウェブサイトの登録制も導入する方針だ。

中国、複数の検索エンジン使用不能 ネット検閲強化の影響か

2006/06/21 The Sankei Shimbun東京朝刊から

 【北京=福島香織】中国のインターネットで大手サイト「新浪」「捜狐」など複数の検索エンジンが19日からサービスを停止している。検索をかけると「アップグレード中」との画面が表示され、中国政府による検閲強化の影響との見方が強まっている。

 「捜狐」の技術担当者は産経新聞の電話取材に対し「政策方面に関する問題」と答えており、2008年までの完成を目標とする当局のネット検閲・統制システム「金盾プロジェクト」のアップグレードに伴う調整とみられる。

中国大手サイト、自主規制のきざし?

2006/04/10 The Sankei Shimbun

≪「ネットの環境浄化」呼びかけ≫

 【北京=野口東秀】中国の大手ニュースサイトとして知られる新浪網、千竜網など14のインターネットサイトは9日、全国のインターネット業界に対し、ポルノや違法な言論追放による「ネットの環境浄化」を呼びかける声明を発表した。

 中国当局は、特定の言葉を対象としたネット検閲を強めているが、大手サイトが共同で「健全化」の声明を公表するのは異例で、業界による自主規制も強まりそうだ。

 中国のインターネット監視機関にはこれまで約26万件の「不良情報」が通報され、その66%をポルノ関係が占める一方、「党・政府への攻撃」が5.3%、「邪教の宣伝」が3.3%に達しているという。

中国ネット言論 協会理事長、党批判厳しく規制

平成18(2006)年04月08日 The Sankei Shimbun

 【北京=野口東秀】中国のインターネット業界の指導組織、中国インターネット協会の胡啓恒理事長は七日、当局が言論規制を強める現状について、「法律に違反しない限り(犯罪として)追及すべきではないが、中国共産党の執政方針に反対するのは別問題だ」と述べ、体制批判には厳しく対処する考えを示した。インターネットに関するフォーラムで一部記者団に語った。

 同協会は、ネット関連企業と関連団体を組織し、ネットの技術を高め、知識を普及させることを目的とした団体。

 中国はインターネットで、「法輪功」など体制にかかわる特定の単語を検閲し、サイトへの接続や検索を制限している。温家宝首相も三月の全国人民代表大会(全人代)の記者会見で、「社会の秩序に悪い影響を与えてはならない」とネット規制の「必要性」を強調した。

 胡氏の発言は、ネットでの体制批判は制限すべきだとの考えを改めて示したものだが、「何を問題とするか一概に論じるのは難しい。中国の法律は論文的で不明確だ」とも述べ、規制にかかわる基準が不明確なことも認めた。

ネット規制は必要と反論 中国・温家宝首相

2006/03/14 The Sankei Shimbun

 中国の温家宝首相は14日の記者会見で、中国政府によるインターネット規制について「国民がネットを利用する権利と自由はあるが、国家や社会全体の利益を守るため、法と秩序を守ることを自覚すべきだ」と一定の規制の必要性を指摘、米議会などで高まっている批判に反論した。

 中国では、ネット検索大手グーグルが「台湾独立」など当局が検閲対象と定める内容を表示できないようにするなど、米企業も言論統制に協力している実態が相次いで明らかになっている。

 温首相は、ネット管理について「国際的に通用している方法で行っている」と述べる一方、ネットは「正確な情報を伝えるべきで、社会秩序に良くない影響を与えてはいけない」と強調した。(共同)

中国、左派サイトも一時閉鎖 全人代前にネット世論封じ

平成18(2006)年2月28日 The Sankei Shimbun

 【北京=福島香織】インターネットの左派サイトで知られる「共産党人」「中国工人ネット」「工農兵BBS」の三サイトが一時閉鎖されていたことが二十七日までにわかった。三月五日から始まる全国人民代表大会(全人代=国会に相当)を前に、改革派だけでなく、労働者たちの言論も統制の対象に入れたようだ。三サイトの公告によれば、閉鎖は二十二日からで、北京市新聞弁公室宣伝管理処からの要求。表向きの理由はこれらサイトに「当局が規定する一千万元の資金保証がない」からだとしている。

 三サイトはいずれも農民、労働者の権利を擁護する言論サイトで、ボランティアらによって二年前から運営されていた。改革開放政策に批判的立場をとり、最近の党幹部の拝金主義や党と企業の癒着問題、労働者・農民からの搾取などを問題視していた。

 米国ラジオ、ボイス・オブ・アメリカ(VOA)電子版によれば、中国工人ネットの厳元章編集長は「全人代で問題を議論し、人民も自身の考えを発言しようというこの時期に、ネット閉鎖が命じられたことは非常に残念」と強調し、今回の閉鎖が、全人代前の“ネット世論封じ”であることを示唆した。

 胡錦濤政権はこれまで、自由や民主主義を主張する改革派の言論に対してはたびたび圧力を加えてきたが、農民、労働者擁護のサイトにまであからさまな圧力をかけるのは珍しい。

 厳編集長は「資本家の三分の一が党員という状況の中で、共産党は社会主義を貫くのか、自由資本主義を実施するのか。もし前者なら人民の生活基礎を保障すべきで、後者なら言論の自由を保障すべきだ」と述べ、党の矛盾を指摘している。

「利益優先」とIT企業批判 中国ネット検閲で米公聴会

2006/02/16 The Sankei Shimbun

 米下院外交委員会の人権問題小委員会は15日、インターネット検索大手ヤフー、グーグルなど米情報技術(IT)関連企業が、進出先である中国政府のネット検閲に事実上協力している問題で初の公聴会を開催し、議員らは出席した計4社の代表に「利益優先だ」と厳しい批判を浴びせた。

 企業側はこれに対し中国の法律に従う必要性をあらためて強調。「一企業や産業が対応できる範囲を超えている」(ヤフー)などと苦しい事情を訴え、政府間での問題解決に期待を表明した。

 4社はヤフー、グーグルのほか、ソフトウエア最大手マイクロソフトとネットワーク機器大手シスコシステムズ。

 民主党のトム・ラントス議員(カリフォルニア州)は「検閲を回避する技術こそ開発すべきなのに、進んで検閲を手助けするとは」と痛烈に批判。クリストファー・スミス小委員長(共和党、ニュージャージー州)も「基本的人権に違反する法律に企業は協力すべきなのか」と追及した。

 中国の規制に従って検索サービスの表示を制限しているグーグルは「不完全ではあるが、中国での情報アクセス拡大に貢献できると考えた」などと釈明した。

 証言した米国務省当局者によると、中国のネット利用者は1997年の約60万人から現在は約1億1000万人に急増。検閲や規制が最近、強化されているという。(共同)

ネットの接続規制、米が対策チーム

2006年02月15日 asahi.com

 米国務省は14日、中国などによるインターネット規制に対抗する特別対策チームを立ち上げたと発表した。中国などでは国内から一部のサイトに接続できないなどの制限が当局によって行われている。米国では、グーグルやヤフーなど代表的なネット企業がこれに協力していることが明らかになり、協力の是非をめぐる論争に発展している。一方、中国政府はネット規制の必要性を主張している。

 記者会見したシャイナー国務次官(経済・商業・農業担当)は「ネットは自由を広げる力として機能しているが、開放性に対して重大な挑戦も受けている」と指摘。ネットを通じた世界的な情報入手を最大限可能にし、規制を最小限にすることが「米政府にとっての最優先事項」と強調した。

 チームは省庁横断の専門家で構成。接続を制限するために使われている技術や米ネット企業への影響、ネット上で政府批判などの発言をした活動家を追跡する技術などを分析。政府間や国際機関のあらゆるレベルの外交機会を通じて、ネットの接続規制を実施している国々に規制中止を働きかけていくという。

 企業側は「民間企業1社での対応には限界がある」(ヤフー)などとして政府に対応を求めていた。15日にはこの問題をめぐり、議会で公聴会が開かれる予定だ。

 一方、中国外務省の劉建超(リウ・チエンチャオ)副報道局長は14日の定例会見で「中国政府は法律に基づいてインターネットを管理する。違法であったり社会道徳に反したりする内容を制限することは、広範な人民の利益になる」と述べ、規制は「条理にかなっている」と主張した。外国企業に対しては「中国で活動するなら中国の法律を順守しなければならない」と求めた。

中国政府「ネット情報規制は正当」 米批判に反論

2006/02/14 The Sankei Shimbun

 中国外務省の劉建超副報道局長は14日の定例会見で、米検索大手ヤフーやグーグルに情報規制の協力を求めたことについて「青少年に有害な内容を制限することは理にかなっている」と述べ、規制は合理的で正当だと強調した。

 副報道局長は、インターネットの普及が中国経済の発展に貢献しており、政府も重視しているが、中には有害な情報もあると指摘。「外国企業が中国で活動するなら、中国の法律を順守すべきだ」と述べ、米議会などが「言論統制だ」と批判していることに反論した。

 グーグルは1月、「台湾独立」など中国政府が検閲対象とする内容を表示できないようにする利用制限の導入を発表。ヤフーも政府批判をした人物の情報を中国当局に提供したことが明らかになっており、米企業が中国の言論統制に協力している実態が相次いで表面化している。

 米議会はこうした動きを問題視し、15日には下院がヤフーなどを呼んで公聴会を開催する予定。(共同)

中国、違法サイト大量閉鎖 ネット統制強化の一環か

2006/02/07 The Sankei Shimbun

 中国共産党中央宣伝部や公安省、国家版権局などは版権侵害など違法行為を行っていたウェブサイトの集中取り締まりを実施、76のサイトを閉鎖した。新華社電が7日までに伝えた。中国政府は体制を批判する内容のブログを閉鎖するなどしており、ネット統制強化の一環の可能性もある。

 版権局は摘発した個別サイトの内容は公表していない。

 新華社電によると、摘発は中央宣伝部など党・政府の8部門が共同で、約3カ月かけて実施。許可なく映画や音楽などをサイト上に流すなど版権を侵害する行為のほか、中国政府に登録していないサイトも対象にした。

 サーバー39台を押収し、137のサイトに内容の削除を命じたほか、29サイトに罰金計約79万元(約1000万円)の支払いを命じたとしている。

 版権局は今回の取り締まりについて「政府の知的財産権保護の姿勢を示し、著作権者の法的権利を保護する」のが目的と説明している。(共同)

中国向け新サイト、BBCも妥協 英語教育に限定

2006/02/07 The Sankei Shimbun【東京朝刊から】

 【ロンドン=蔭山実】英放送協会(BBC)は今月、中国語による英語教育サイト(BBCChina.com.cn)を立ち上げた。が、新サイトには中国政府を刺激するような内容はほとんどないため、英国内からは「中国批判報道を避ける決断は中国政府の検閲体制に屈することになる」(英フィナンシャル・タイムズ紙)などと批判があがっている。

 BBCの中国語サイト(BBCChinese.com)は、中国政府批判を掲載したこともあって中国国内からはアクセスできない。今回の新サイトは中国ドメイン(.cn)を獲得、BBCも「新サイトは(アクセス禁止という)政治的攻撃を回避するために立ち上げたのではない。英語を学びたいという中国の若者にアピールするためだ」と説明する。ただ、米インターネット検索エンジン大手のグーグルも先月、中国語サイトで中国政府が好ましくないとする表現を検索できなくする措置を講じたため、「グーグルは中国での利益を優先し中国政府の検閲制度に屈した」などと批判された。

グーグル 中国の検閲協力 米対応と一転、低姿勢に

2006/01/27 The Sankei Shimbun【東京朝刊から】

 【ニューヨーク=長戸雅子】インターネット検索最大手のグーグルが中国語の新検索サービスを始めるため、中国当局の検閲を受け入れたことが米国で論議を呼んでいる。米国内では利用者の検索履歴提出を求める司法省の要請を拒否し続けて闘っているグーグルが、中国に対しては一転、低姿勢となったことに「海外でも闘うべきだ」(シカゴ・トリビューン紙)などの批判が寄せられている。

 グーグルが中国国内で始めた新しい検索サービスでは「台湾独立」や「ダライ・ラマ」「天安門事件」「法輪功」などの言葉は検索しても結果が示されないか、これに関する中国当局側のウェブサイトしか表示されない。こうした禁止用語は1000語近くになるという。

 グーグル側は「困難な決断だったが、何の情報も提供しないことの方が、削除よりもグーグルの使命に反することになる」と弁明した。

 メールやブログへのアクセスも制限したことについては「利用者の個人情報が(中国当局に)流出することを防ぐため」と説明しているが、メールなどが反体制の目的で使われることを恐れる中国当局に配慮した措置とみられている。

 中国語での検索はこれまでも可能だったが、米国内のサーバーを使っていたため検索に時間がかかるとされ、地元中国の検索サービス「百度公司」の人気が優先していた。今回の新サービスは中国内に設置したサーバーを使う。

 米国では当局の「介入」に徹底的に闘う方針を示しているグーグルが、1億1000万人以上のネット人口を誇る中国の大市場の前には「倫理」でなく、「商売」を優先した格好だ。

 ニューヨークに本部がある人権団体「中国人権」は産経新聞に「グーグルは『何の情報もないよりはいい』と言い訳しているが、他の検索サイトでも見られるものばかりでは進出する意味がない。今回の決定はグーグルのブランドを傷つける行為だ」と話し、批判した。

 ≪巨大市場武器 進むネット検閲≫

 【北京=福島香織】中国は2005年末で1億1000万人以上のネット人口をかかえる巨大市場を武器に、国際ネット企業に検閲協力させることに成功している。

 すでにヤフー、マイクロソフトなどは検閲協力への合意と引き換えに中国で事業展開しており、これまで当局に抵抗し何度か一時閉鎖の憂き目にあってきたグーグルも、激烈な市場競争の中でついに屈した格好だ。

 中国ではネット管理が一党独裁の“要”とみられており、「有害情報から青少年を守る」を建前に一部海外サイトへのアクセス遮断、「有害サイト」の密告制、サイト、ブログの完全登録制を導入。反体制言論者へは厳罰が科せられる。

 一方、ネット産業は順調に成長。中国のドメイン(CN)登録は100万件以上にのぼり、オンライン広告市場は08年までに5億5000万ドルに達するとの予測もあり、ネット企業は中国市場を無視できなくなっている。

 しかし中国ではネット言論を理由に60人以上が当局に拘束されているとみられている。

 昨年秋に機密漏洩(ろうえい)罪で中国人記者が懲役10年の刑を受けたケースでは、ネット企業が提供したメールのログイン番号が証拠となったとされ、国際企業がネット検閲に加担することは今後、当局の言論統制を一層徹底させるものと懸念されている。

中国のネット利用者1.1億人に 05年末

2006/01/17 The Sankei Shimbun

 中国インターネット情報センターは17日、2005年末の中国のインターネット利用者が1億1100万人に達したと発表した。中国情報産業省は昨年6月にネット利用者数が1億人を超えたと発表しており、半年で1000万人以上増えたことになる。中国の利用者総数は03年以降、米国に次ぎ世界2位。

 ブロードバンド(高速大容量)回線利用者は6430万人で、昨年6月時点の約3000万人から倍増した。ブロードバンド利用者も世界2位。

 地域格差を反映し、都市部のネット普及率17%に対し、農村は2.6%にとどまった。(共同)

中国ソフトウェア産業2300億元、インド越える

2005/05/01 中国情報局

  情報産業部電子情報製品管理司の丁文武・副司長は、第9回中国国際ソフトウェア博覧会の記者会見で、2005年における中国のソフトウェア産業の規模が5年前に比べ3.8倍となる2300億元で、インドと韓国を超えたことを明らかにした。新浪網が伝えた。

  丁・副司長は、「中国はソフトウェア産業の発展戦略を一貫して重視してきた。IT分野の中心的産業と位置づけ、関連する産業政策を推進したことにより競争力を増強することができた」と述べた。

  現在、中国には国家ソフトウェア産業基地が11カ所、国家ソフトウェア輸出基地が6カ所存在する。また、国家レベルの重点ソフトウェア企業は172社。(編集担当:齋藤浩一)

中国のインターネットユーザーが1億人を突破

2005-11-08 Hello navi BY: ChinaWave

 中国通信学会光通信委員会の毛謙委員長はこのほど、武漢市で開催された「第4回中国光谷国際光電子博覧会およびフォーラム」で、中国のインターネットユーザーが6月末時点で1億300万人に達したと発表した。

 その内、回線ユーザーは5300万人、電話接続ユーザーは4950万人となっている。また、回線ユーザーはADSLユーザーを主としている。

 情報産業部の統計によると、今年7月末現在、全国のADSLユーザーは3300万人に達し、回線ユーザーの3分の2を占めている。回線スピードについては、5%が「不満」、17%が「満足までは行かない」、40%が「普通」と答えている。

 これに対して、毛委員長は、「回線スピード問題を解決する為の光ファイバー接続技術は2〜3年内に大きな発展を遂げる」との予測を示した。

 中国の回線ユーザーはアジア諸国では最大規模だが、家庭回線普及率は3%を下回り、韓国、シンガポールなどを下回っている。これに対して、武漢長飛光繊光纜有限公司の張穆副総経理は、「回線普及率の低さは、中国の回線接続市場、光ファイバー接続技術の巨大な発展潜在力を意味している」との見解を示した。

中国のインターネット利用者が1億人を突破

2005-07-26 Hello Navi BY: chinawave

 中国インターネット情報センター(CNNIC)は22日、「第16回中国インターネット発展状況統計報告」を発表した。6月30日まで中国のインターネット利用者が1億を超えて1.03億人に達したことが明らかにした。インターネット利用者数では、米国に継いで世界第2位となる。

 中国のインターネット利用者数は半年間に900万人増加し、昨年同期比では18.4%増となり、インターネット接続コンピューター数は4560万台で、半年間に400万台増加し、同25.6%増となった。

 中国のウェブサイトは67.7万件、IPアドレスは6830万件で、保有量では世界第4位となっている。

 中国ドメインのCNで登録したホームページ数は半年間に19万件多い62.2万件に達し、伸び幅は44.1%となり、CNドメインが次第に国内外の企業から重視されている。

 このほか、ネットショッピングが急成長している。ネットショッピング利用者は2000万人に達し、クレジットカードによる支払も半分を占めた。ネットショッピングによる半年間の売上額は100億元に達し、特に携帯電話販売量は300万台を超えている。

中国共産党、インターネット封鎖に60億人民元

2005/04/17 大紀元

 【人民報ニュース】(大紀元記者楊可4月14日報道)大紀元ポータルネットニュース編集責任者黄麗如さんによると、中国共産党がインターネットを検閲するため、少なくとも人民元60億(日本円約780億円)を投じた。この人権侵害や弾圧を維持するためのシステムはいわゆる”金盾プロジェクト”と呼ばれ、このシステムで中国共産党当局は、人権活動家や民主運動者を監視、追跡することができ、人々の言論自由と知的権利を著しく侵害し、さらにプライバシーまで侵害した。

 黄氏の発言によると、中国共産党がインターネット監視システムを操作するため、大量の警察やネット警察を動員。また数十万のネット警察で中国国内のネットを検閲し、自分にとって都合の悪いネットを弾圧し、いろんな情報をフィルターして封鎖している。国家安全部がさらに、今後中国のインターネット利用者が国外の無料メールの使用禁止、さらに中国国外の検索エンジンすべてを封鎖すると言い出した。国家安全部にも3万名のスタッフがネット監視を専任とし、その主な任務はインターネットに流れている情報の内容の監視とホームページの封鎖である。

 黄氏の発言によると、中国共産党は4万5000軒のネットカフェを検査した。その中の1万2000軒が一時的な営業停止処分に、3300軒が廃止に追い込まれた。一部都市のネット警察が特殊なソフトの開発を専門とし、それをネットカフェのサーバに入れて、ソフトは自動的に内容をフィルターして、阻止するだけでなく、さらにユーザの操作を記録し、ネット警察に知らせることができる。それ以外にインターネットを使うとき、身分証明書が必須になっている。

 中国はさらにGoogleを封鎖。中国大陸Googleの中国語ニュースサービスは中国共産党が禁止しているネットサイトの情報を削除している。同じ検索でも、大陸のGoogleとアメリカのGoogleで、その結果が異なっている、Googleが自動的に中国共産党が禁止しているサイトの情報を削除している。

 中国共産党がさらにネットサイトや、サイトの内容や、国家レベルのキーワードフィルターをかけている、一部の単語たとえば”遊行”、”教宗”、”趙紫陽”、”真善忍”、”真相”、特に”法輪功”のフィルタリングが非常に厳重なところまできた。キーワードを追跡して、ネット警察が違反者を突き止め、異なる意見をもつサイトのIPを封鎖している。VOA(アメリカの声)やRFA(アジア自由ラジオ)や法輪功の明慧ネットなどが封鎖されている。もちろんメールの監視とフィルターはお手のものである。

 大赦国際が指摘した:中国でインターネット上で異議を発表したり、情報を交換して逮捕され、監禁された人数が急増している、2003年の一年間に逮捕された人数は例年より60%増えた。中国で少なくとも54人がネット上でメールを送信やネットサイトを構築あるいは法輪功情報を交換したために監禁されている。

 黄氏はインターネット封鎖を突破するソフトを使って封鎖を突破したある大陸のユーザの言葉を紹介した。「空気は自由で、水は自由で、なぜインターネットが自由ではないのですか?今日、私はあなたのソフトをもらった、あなたの技術開発に非常に感謝しています。あなたの努力で我々が少し”新鮮な空気”を吸えました。高圧的な形勢の下で、人々は窒息しそうです。我々はどんなにあなた達の救いの手を必要としているでしょうか?」。

中国のネット検閲 その“手口”

2005/04/15 東京新聞

 中国政府のインターネット検閲技術を分析した報告書を、米国などの研究グループがまとめた。反日デモは、ネットを通じた呼びかけに若者たちが呼応して集結した。だが、報告書では、それと分からないように巧妙に規制をして、当局に都合の悪い情報にはアクセスさせないという。今週末も反日デモの再燃が懸念され、当局は情報統制に躍起だ。中国のネット規制“手口”とは−。 

 「法輪功」「天安門」「台湾」「チベット」…。

 報告書によると、中国当局が決めたこういった単語を含むサイトやアドレスに接続できなくするのが検閲システムだ。

 当局が神経をとがらせるであろう単語それぞれについて、検索エンジンで上位百位に入るサイトを対象に、中国国内から接続できるかを調査した。

 その結果、中国語サイトで接続できなかった率が高かったのが「中国労働党」で93%。「ナインコメンタリーズ(九評)」「天安門大虐殺」が90%でそれに続く。「ナインコメンタリーズ」は、台湾、香港、日本などで発行されている週刊華字紙「大紀元時報」による中国共産党の批判的論評だ。

■「エラー」表示で隠ぺいも巧妙に

 非接続率をその他の微妙な政治問題で見てみると、「法輪功」は44%、「法輪大法」で73%に上った。「チベット」は9%だが、「ダライ・ラマ」になると54%に跳ね上がる。なぜか「台湾」(8%)「台湾独立」(25%)には寛容だ。

 何を接続妨害するかで、かえって中国当局の関心度を「裸」にしているともいえる。妨害は、中国のネットワークの「幹」の部分でも「枝」の部分でも行われている。

 同様に検閲体制を敷く他国の場合は、検閲で閲覧できなくしたことを利用者に明らかにするが、中国の場合「タイムアウト」「エラー」など技術的問題を装い、それが検閲による規制だとは利用者には分からないようにしてある。

 それらの「洗練された」検閲体制は、シスコシステムズやノーテルネットワークス、サンマイクロシステムズといった、米国のIT企業の技術に支えられていると報告書は指摘する。特にシスコはネットウイルスなどを除去するシステムを中国に販売している。この技術でウイルスの代わりに単語をはじくようにしておけば、検閲に応用可能だ。

 企業側は「単に技術を売っただけで、顧客がどう使うかまで関与できない」としているが、シスコについては内部告発者が「中国のために特殊なローター(データの送信経路を決定する装置)を開発した」と明らかにしている。

■プロバイダーの免許取り消しも

 二〇〇四年八月には、中国人ハッカーが中国語、英語合わせて九百八十七に上る単語の一覧表をネット内で発見し、掲示板で暴露した。少数民族の独立運動や法輪功、共産党幹部の名前などだ。調査では、このリストに掲載された単語を中国国内の三つのプロバイダーのブログで使用してみた。二つのプロバイダーはそれぞれ十八語、十九語に反応し「*」印に置き換え、単語の使用ができなかった。残りの一つは三百五十語に対し使用の警告を出した。

 法的な締め付けについても報告書は指摘している。プロバイダーは、顧客管理などを義務づけた法に違反すれば、免許の取り消しやスタッフが逮捕される可能性がある。〇一年にはインターネットカフェの集中的な取り締まりで、八千店が閉鎖を余儀なくされ、遼寧省だけで五千店で警察が検閲ソフトを導入させた。

 この報告書で指摘しているように、ネット上での規制は技術的に可能か。

 「難しいことではない」と話すのは、インターネットジャーナリストの森一矢氏だ。

 「中国は規制環境をつくりながらネットを広めてきており、海外サイトなど、ピンポイントで特定のサイトに接続できないようにしている。ネットはどこからでも接続できるように見えるがそうでもない。日本なら海外サイトにつながる東京と大阪、沖縄などにある回線を通らないと、接続しない。そうした回線に関所を設けておけばよい。検索サービスでは、事業者に対し特定の言葉を規制するようにしておけばできる」

 実際、今週末のデモ再燃を警戒して、デモ参加を呼びかけるような書き込みがあるようなサイトは、閲覧が規制されているという。「十六日午前九時、天安門広場に集合」とデモを呼びかけたサイトは、翌日から閲覧ができなくなった。

■人口の1割弱の9400万人が利用

 中国のネット利用者は昨年末で約九千四百万人といわれる。人口の一割に満たないが、ブロードバンド(高速大容量通信)利用者は約四千万人といわれ、当局も無視できない。

 「中国では二〇〇〇年に、ネットなどを規制する基本的な法律ができた。やってはいけないこととして、国家の安全と社会の安定、共産主義社会の秩序を乱すことが項目として含まれている。その基本法をもとに、規制の細則、罰則が決まっている。例えば、中国内でもヤフー(検索エンジン)が運営されているが、『国の安全を脅かす』『党批判』と政府が判断したサイトは、排除しなければ運営ができない」

 ネット規制の状況を話すのは国際社会経済研究所の原田泉主席研究員だ。

■ネット警察存在 3万人体制説も

 検閲を行っている組織について「中国の国家情報化指導グループで、その下に情報産業省、地方の公安部、国家コンピューターネットワーク不正アクセス防止センターなど、いろいろな機関がある」と説明する。十四日付米ワシントンポスト紙電子版も「確認はできなかったが、監視する『インターネット警察』は三万人いるともいわれる。関与する政府機関は十一ある」と報道した。

 一方、中国のネット事情に詳しい関係者も「ネット内の掲示板などは、共産党批判の内容は規制されるが、それ以外は事業者の自主規制的な部分もある」と話す。党中央宣伝部によって厳しく規制されているテレビ、ラジオ、新聞に比べ、インターネットの規制は緩い側面がある。ネットの特性に起因するようだ。

 森氏は「例えば『あいうえお』という単語をブロックすることはできるが、『あ▽い▽う…』と打てば、ブロックされない」と明かす。先の関係者も「中国からニューヨーク・タイムズのようなサイトは見られないことになっているが、国内で見られるサイトを迂回(うかい)して行くことはできる」と抜け道もあるという。

 インターネットの普及は民主化を進めるとみられているが、政府の首を絞めることにはならないだろうか。「ネットの導入は共産主義の崩壊の第一歩」と、森氏は痛烈だ。原田氏も「ベルリンの壁が崩壊したのも東西の情報交流から。ネットを通じて、海外からの情報が入るようになれば、民主化が進む一つのテコになるのでは」と話す。

 だが、先の関係者は思案顔だ。「ネット上でも党批判ができない、ゆがんだ自由の中で、市民の不満のはけ口は、外国、日本に向かいやすい。本来の民主化に寄与することにはならないのではないか」

幅利かす中国のネット検閲 米、カナダの大学が調査

2005/04/15 The Sankei Shimbun

 当局に都合の悪い内容を含んだ書き込みや電子メールを遮断するという極めて精巧なインターネット検閲システムを中国政府が構築しているとの報告書が14日、ワシントンで発表された。

 報告書は米ハーバード大やカナダ・トロント大の研究者らでつくる「オープンネット・イニシアチブ」によるもので、中国国内外から中国の人気ウェブサイトにアクセス。さまざまな情報を書き込むなどして、どのような内容であれば閲覧できなくなるかを調べた。

 その結果、反政府活動や台湾独立のほか、天安門事件やチベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世についてなど、政治的に微妙な問題を含む情報の多くがブロックされた。

 調査に参加した研究者は「中国はアジア地域にインターネット技術を提供しており、検閲技術も合わせて輸出される恐れがある」と警戒している。(共同)

インテル:中国系Linux企業との提携を加速

2005/04/15 中国情報局

 インテル中国は、中国国内のLinuxディストリビューターと提携したことを発表、Linux対応のソリューションシステムを推進していくことを明らかにした。13日付で新浪網が伝えた。

 提携する中国系IT企業は永中科技、中科紅旗、中標軟件など。インテル社のユーザーにさまざまなソフト環境を提供することを、提携強化の目的としている。

 インテル社はインドでも提携事業を実施しており、今後はLinuxなどのオープンソースソフトウェア企業との提携を、ヨーロッパでも進めていくとしている。

 また、05年3月サンフランシスコで開かれた「インテル・デベロッパ・フォーラム(IDF)」では、プラットフォームメーカーへの転換方針を打ち出しており、市場関係者は、「オープンソースソフトウエア企業との提携によるメリットとビジネスチャンスを確信したもの」とみている。

 業界では今回の提携について、「インテル社が自主的に進めてきたものであり、資金面やビジネスサポート、開発ツールなどの面での支持が行われる」としているが、具体的な金額については明らかにされていない。

 また、マイクロソフト社との関係についてインテル社は、「Linuxとの提携により関係に影響が出ることはない」としている。(編集担当:齋藤浩一)

中国は世界最大のネット検閲国家

2005/04/14 ロイター

中国は数千人の職員と民間人を使って「広範で洗練された、効果的な」インターネット検閲システムを構築している――最新の調査で明らかになった。(ロイター)

 中国は世界で最もインターネットを検閲し、Webサイト、Blog、電子メール、オンラインフォーラムのデリケートな政治コンテンツをフィルタリングしている国家だということが、4月14日に公開された調査報告で示された。

 OpenNet Initiative(ONI)によると、中国は数千人の職員と民間人を使って「広範で洗練された、効果的な」インターネット検閲システムを構築しているという。

 「ONIは、中国政府が注意を要すると判断した話題に関するWebサイトをどの程度フィルタリングしているのか把握しようとした結果、同国が非常に広範囲にわたって検閲を行っていることを発見した」とwww.opennetinitiative.net/chinaで公開されている報告書には記されている。

 「中国国民が台湾やチベットの独立、法輪功、ダライ・ラマ、天安門事件、野党、反共産主義運動に関連するコンテンツを含むWebサイトにアクセスしようとすると、頻繁に遮断される」(報告書より)

 この調査はハーバード大学、ケンブリッジ大学、トロント大学と共同で行われ、4種類のテストで中国内外からのインターネットアクセス遮断を調べたと、プロジェクトリーダーのジョン・パルフレー氏は説明する。

 中国がどのようなコンテンツを遮断しているのかをテストする特殊なプログラムを国内のボランティアが走らせるのと併せて、ONIの研究者は中国内のプロキシサーバにアクセスし、同国の人気Blogにデリケートなコンテンツを含むメッセージを投稿し、主要ISPに、そして主要ISPからにテストメールを送信した。

 「中国は現在、世界で最も高額で効果的なインターネットの検閲と監視のための法的・技術的システムを有している」とパルフレー氏は、ワシントンの議会公聴会に集まった関係者や記者に語った。

 中国は複数の重複するフィルタリング手法を用い、キーワードによる遮断、ユーザーやコンテンツ会社への圧力などソフト面とハード面での規制を組み合わせているという。

 こうしたフィルタリング体制は透明性がなく、中国当局は検閲を公に認めてもいない。また検閲の決定に抗議を行うことはできず、「自己検閲の風潮」を作り出しているともパルフレー氏は語る。調査を手伝ったボランティアは、「かなりのリスク」に直面したという。

 ベトナム、北朝鮮、ウズベキスタン、キルギスタンへのインターネットアクセス提供者として、中国はコンテンツ規制をこれら隣国へも輸出できるとパルフレー氏。同氏はハーバードロースクールのとインターネットと社会のためのバークマンセンターの責任者を務めている。

中国:反日デモの組織化に活用されたネット事情

2005/04/13 中国情報局

反日活動の情報伝達のツールという切り口で概観−有田直矢

 2005年4月9日、北京で大規模な反日デモが行われた。日本の国連安保理常任理事国入りに反対、歴史教科書検定についての抗議などが主な内容だが、今までの日中間の懸案がまとまって噴出した形だ。

  今回のデモの組織や反日活動への呼びかけで、用いられたツールとして、インターネットが指摘されている。これまでも、中国のインターネットに関しては、断続的にサーチナが運営する中国情報専門サイト「中国情報局」などを通じて発信してきたが、今回、反日デモ及び関連活動における情報伝達の手段としての中国のインターネット環境という切り口でまとめてみた。

  ◇中国のインターネット利用者

  中国のインターネットユーザーは2004年末の時点で約9400万人といわれており、現在までに約1億と考えてよいだろう。全人口(13億人強)に対する普及率は10%に達していない(日本の普及率は計算方法によって単純に比較できないが60%を越える)ものの、総数だけを見れば、アメリカに次ぐ世界第2位の規模を有している。

  インターネットの普及度合いを推し量る目安としては、ブロードバンド環境も一つの要素として考えられるが、日本のように大容量なものではなく、512Kあたりの、日本ではすでに省みられなくなってきているスピードが主流に近いという前提の下で、やはり、中国のブロードバンドユーザーは4000万を超えているとされている。つまり、ネットユーザーの半数前後がブロードバンドユーザーになっており、これは比較的高い普及率といえる。

  ◇中国の媒体としてのネット及びそのサイト

  amazon.comが運営する米国のAlexa Internet(アレクサ・インターネット)社が発表している世界のWebサイトのトラフィックランキング、つまり、ウェブサイトの世界的な視聴率と呼べるもので、世界ランキングトップ20位までに、中国のサイトは実に六つもランクインしている(日本時間2005年4月12日現在のランキング、以下括弧内順位もこれに相当する)。

  この六つのサイトは、「新浪網(SINA)」(第6位)、「網易(NETEASE)」(第11位)、「捜狐(SOHU)」(第9位)の中国三大ポータルサイトはもちろん、中国版のGoogleともいえる、検索エンジンに特化した「百度(Baidu)」(第7位)や、ダイレクトアクセスサービス「網絡実名」で有名な「3721」(第12位)、インターネット及びモバイルメッセンジャーに注力、「QQ」ブランドでサービス展開する「騰訊(Tencent)」(第13位)。

  この世界ランキングトップ20位の中で、日本のサイトはYahoo!JAPAN(第5位)だけ。このことからも、中国におけるインターネットの媒体として持つ力の大きさは明らかだ。

  ◇中国ネット利用者のプロフィール

  『中国IT白書2004−2005』(サーチナ総合研究所、2004年11月)によれば、中国のインターネット利用者の職種について、2004年6月末時点で実に「学生」は31.9%に達している。今回の反日デモでも、主力は学生など若い世代となっているが、学校教育におけるネットの普及、学校でのネット接続可能な端末の増加、依然として根強いネットカフェ人気(主要客層は当然学生)、生活水準の向上に伴うネット接続可能なPC端末の家庭への普及などがその要因に挙げられている。

  ちなみに、『中国IT白書2004−2005』をもとに、中国のインターネット利用者の属性を見てみると、2004年6月末時点で男女比は男性59.3%に対して、女性は40.7%、年齢構成としては、18〜24歳が36.8%、18歳以下が17.3%、25−30歳が16.4%を占め、これらの合計である30歳以下が実に70%にも達している。月収水準としては、500元以下が27.7%、501−1000元が16.3%、1001−1501元が13.2%、1501−2000元が9.6%と、全体としては低所得層が多いようにも思えるが、中国全人口の所得水準平均と比べれば、それでも若干高い水準に集中している(1元=約13円)。

  ◇流行するメッセンジャーとBBS

  中国のインターネットにおいては、通常のメールもかなり頻繁に使われるが、メッセンジャーも利用頻度が高い。世界ランキングで「騰訊(Tencent)」が上位にランクインしていることからも分かるように、「QQ」といえば、たいていの中国ネチズンは通じ合うことができ、そのナンバーを相互に交換、メッセンジャーをやり取りすることも珍しくなく、時にはBBS(Bulletin Board System(Service)、電子掲示板システム)上で自身のナンバーを公開することもある。さらに、この「QQ」は携帯電話とも連動していることで、その利便性を増している。メール以上に気軽に、すばやくやり取りできるメッセンジャーも、今回のデモやそれらに関する活動の連絡手段として広く用いられたようだ。

  BBSといえば、中国ネチズンにとっては、インターネット上における最重要情報源の一つ。ほかのユーザーの生の意見が聞けるということもあって、インターネット上で掲載されているニュース記事そのものよりも、ユーザーにとっては信頼性の高い情報としても認識されているようだ。中国でも、ブログが浸透し始めているが、現在までの状況から見れば、BBSが主流。大手ポータルサイトなどでは、個別の記事、あるいは特集に関して、専門のBBSを設置、興味引く話題に関しては、書き込みがあとを絶たない状況だ。

  今回の例をとってみれば、日本の国連安保理常任理事国入りに関する特集が各ポータルサイトなどで展開されており、それらの設置された専門のBBSでは1日で数百件の書き込みが行われることも珍しくないようだ。このほか、中国には多数の反日を専門としたサイトがあり、そこにもBBSが設置され、むしろBBSを中心としたサイト運営という形態をとっている。ここでの書き込みもかなり激しいものがある。

  BBSに書き込むという行為は、いわば書き込みたい人、書き込むことが苦にならない人など、その行為そのものが、ある意味でサンプルは無作為とはならない。中国ネチズンでも、BBSは読むが、自分で書き込むことは少ない、という人が多い。そのため、BBSの書き込み内容は、かなり過激なものもあるが、これをそのまま中国全体の総意、あるいは中国インターネットユーザーの総意ということはできない。それでも、そうした書き込みが多くの人によって読まれていること、過激な部分を代表していることなどをもって、今回の反日の関連活動の観察には有効なものとなっている。

  ◇携帯電話とSMS

  インターネットのほか、今回の反日デモ及び関連活動において、携帯電話での情報伝達も考えられるが、現在のところ、携帯電話が有効な連絡手段として利用されたとの関連の詳細情報はない。ちなみに、中国の携帯電話加入件数は3億3000万以上。日本では携帯電話によるメールが主流だが、中国では、SMS(ショート・メッセージ・サービス)が主流だ。04年通年、2000億件以上のSMSが送信されているというデータもある。(編集担当:株式会社サーチナ・有田直矢)

「反日」中国に不利益 米紙、社説で警鐘 要因は教育、経済関係損なう

2005/04/03 The Sankei Shimbun

 日本が国連安全保障理事会の常任理事国入りを目指していることをめぐり、中国の複数のインターネットサイトが反対の署名活動や日本製品の不買運動を呼びかけているが、米紙ウォールストリート・ジャーナルは「魔人ジニーが中国のつぼから飛び出した」と題する先月三十一日付社説で、中国共産党の反日教育に要因があると指摘し、繰り返される不毛な対日批判は「中国自身の利益にもならない」と警鐘を鳴らした。主な内容は次の通り。(杉浦美香)

 中国に少しでも足を踏み入れたことがある者なら、何百万人もの中国人が日本の常任理事国入りに反対するウェブサイトを閲覧していることに驚かないだろう。反日感情は社会のあらゆる層に浸透している。

 こうした事態をもたらしたのは、中国共産党が反日活動を黙認してきたことにある。すでに展開されてきた「反日ナショナリズム」のイメージを抑えようにも遅すぎる。

 中国の反日感情の大部分が、共産党が行ってきた教育に起因する。党は、反日感情をあおって自身の支配を正当化する手段とした。中国国民は、日本が日中戦争での所業について認めたがらないとみている。いまやこの日本への憤りは独自の生命を持つようになった。憤りは対日姿勢を軟弱として中国政府にも向かおうとしている。

 人民日報(電子版)は社説で、「ネットでの反日活動は必ずしも日本の常任理入りを阻止することにはならないが、少なくとも日本の“恥知らずな振る舞い”を世界に知らしめることになれば勝利となる」とし、「これは始まりにすぎない」と結んだ。

 中国政府は、このネットの反日活動は自国の利益になるとみているだろうが、(活動が)経済分野にまで波及した場合、後悔する可能性がある。すでに、中国のサイトは日本製品の不買運動を呼びかけている。中国政府は、過去に中国の国内在来線高速化の日本企業の落札をめぐり反日活動を展開したサイトを閉鎖した。同様に、中国政府は今回の反日活動が制御不可能とみればサイト閉鎖の措置をとるだろう。これは的を完全にはずしている。もし、中国政府が反日感情を本気でなだめる気があるのなら、教育などでより積極的な措置をとる必要がある。

 日本政府がこれまでと同様、中国の反日感情を無視していればそのうち収まるだろうという態度をとるなら問題を悪化させるだけだ。日本の行き過ぎた行動は六十年前のことであり、日本は隣国に対して模範的な国であり続けたと繰りかえし強調されてよい。

 中国は反日感情をあおったため、重要な経済関係を損なう危険があるだけではなく、国際社会の建設的なメンバーと認められるのに役立たないと認識すべきだ。それこそが、自国の利益になるだろう。

政府系:低価格製品中心に、国産ソフト導入進む

2005/03/28 中国情報局

  信息産業部により、政府機関での国産パソコンソフトの導入が増加していることが分かった。28日付で京華時報が伝えた。

  省レベルの政府機関による04年のオフィスソフト購入費総額は2.5億元で、そのうち国産ソフトは、24%に相当する6120万元にとどまった。しかし本数では、国産ソフトが、導入されたオフィスソフト41万本の68.45%を占める、28万本となった。

  購入した本数と金額を比較すれば、政府機関は国外製品に比べて安価な国産ソフトを大量に導入していることがわかる。

  OSについては、省レベルの政府機関が導入した11.5万本のうち、国産OSは39.2%となる4.5万本を占めた。これは、米マイクロソフト社によるOS独占という状況を変える流れと見られている。

  なお、ウイルス駆除ソフトでは、金山軟件(キングソフト)や江民公司などの国産ソフトが97%を占めている。(編集担当:齋藤浩一)

インターネットトラブル急増、多くはサイト改ざん

2005/03/26 中国情報局

  ブロードバンドの普及に伴い、インターネットではサイト改ざんやスパムメールなどのセキュリティトラブルが急増している。2004年に報告されたトラブルは6万4686件に上り、前年の5倍になっていることが分かった。25日付で中国新聞社が伝えた。

  桂林(けいりん)市で24日に開催された「2005中国インターネットセキュリティ会議」で、国家コンピュータネットワーク応急処理技術調整センター(CNCERT)は、「セキュリティトラブルの45%はサイト改ざんで、他には、スパムやワーム、トロイの木馬などが多い。また、政府系サイトは特に狙われやすいので、一層の防御策が必要だ」と語った。

  04年、CNCRTに報告された改ざん事件は223件あり、金融機関やeビジネスのサイトが主な対象となっている。なお、同様の被害は02年と03年にはわずか1件しか起こっていないなど、サイト改ざんの被害は急増している。

  CNCERTが現在処理中の200件のトラブルは、国外から協力を要請されたものがほとんどだ。国外のハッカーが、中国内に設置されているホストコンピュータに侵入して、サイト改ざんをしているケースが多い。被害に遭ったホストコンピュータは、ウイルス対策ソフトやファイアウォールも導入されてておらず、ハッカーに隙を与えていた。(編集担当:齋藤浩一)

浸透するネットショップ、流行に乗り10万サイト

2005/03/24 中国情報局

  中国で、オンラインショップの数がすでに10万軒を超えていることが明らかになった。価格比較サイト「YAYA.com」を運営する東方綱誠数据科技有限公司の調査。24日付で中国新聞社が伝えた。

  調査対象は、独自ドメインを持ちオンラインシステムを完備する全店舗と、レンタルドメインを利用して出店している一定規模の店舗。易趣(Eachnet)や淘宝、易拍といった、オークションサイトは含まれていない。

  ネットビジネスが特に発達している地域は、広東(カントン)省で、オンラインショップの23%がサーバーを置いている。以下、北京市が13%、浙江(せっこう)省が12%、上海市が9%と続き、これらの地域に、全国の58%のオンラインショップが集中していることになる。

  オンラインショップの取り扱い品目は約2000万種を超えるとされ、書籍や映像ソフト、花、電子部品分野の品揃えは特に豊富だ。また、業者が多く競争が激しいのは、花や携帯電話、化粧品、アダルトグッズなどの分野。最も成長が早いのは自動車部品分野だ。

  ちなみに中国で、アダルトグッズは「健全な性生活を助ける役割もある」と、ポルノとは別に考えらており、社会的にも認知されている面がある。

  オンラインショッピングは、流行になっているだけでなく、大学生による起業チャンスの創出や、レイオフ(一時帰休)後の再就職先としても注目されている。例えば上海などでは、レイオフされた労働者に対して、ネットビジネスに関する知識や技術を教育している。(編集担当:齋藤浩一)

中国:インターネット広告市場の最新動向(2)

2005/03/16 japan.internet.com

【前回の続き】

■各社がインターネット広告事業に力を入れる理由

(1)中国インターネット人口の急激な増加

中国互聯網絡信息中心(CNNIC)が発表した「第14回中国互聯網絡発展状况統計報告」(2004年6月末データ)によると、中国のインターネット利用人口は約8,700万人に達し、2002年時の約4,580万人(「第10回中国互聯網絡発展状况統計報告」)よりも、約1.9倍と驚異的な伸びを示している。

過去7年間で中国のインターネット利用者は140倍にまで増大して、アメリカに次ぐ世界第2位のインターネット大国になっている。今後もインターネット利用者数は毎年20%から30%のスピードで増加し、2005年にはインターネット利用者は1億人を突破し、2006年には1億5,000万人に迫ると推測されている。

(2)ネット広告の効果測定のしやすさ テレビは今や、中国全土に普及しその視聴者は8億人と言われている。それ故、テレビコマーシャル(CM)は多くの人に自社製品を宣伝できる最も有効なメディアであるが、いつどれくらいの人が自社のテレビCMを見て、購入につながったかという広告の効果測定は非常に難しい。

それに引き換え、インターネット広告においては例えばメール広告のように広告を届けたい人を指定(ターゲティング)できたり、バナー広告などにおいてもクリック率などで広告の効果測定がしやすく、広告の費用対効果が分かりやすいので、それにより効果的な広告プロモーションが可能である。

(3)中国インターネット広告業界の将来性 2003年は約800社の企業がインターネット広告のスポンサーとなり、その数は前年比6%増となった。またインターネット広告市場規模も、2004年は前年比75.9%増の19億元(約240億円)となった。2005年には27億元(約340億円)に達するとの予測もある。

1979年当時、中国の広告全体の市場規模はわずか1,000万元(約1億2,500万円)であった。それがわずか24年で約1,000億元(約1兆2,500億円)に達し、24年間で1万倍となった。広告市場全体の急成長、インターネット普及率の向上、諸外国と比べて低いインターネット広告の広告市場全体に占める割合、インターネット広告のメリット、などを考慮すると2005年の予想値を上回る可能性は大いにあると言えよう。

インターネット広告代理店の増加やアフィリエイトサービスプロバイダ、広告効果測定サービスを提供する会社が数多く市場へ参入しており、中国インターネット広告市場はますます白熱しそうだ。 (記事提供:チャイナサーベイ)

中国:インターネット広告市場の最新動向(1)

2005/03/09 japan.internet.com

中国のIT 専門調査会社で WEB サイト「i-research」を運営する艾瑞市場咨詢が発表した最新レポート「2004年中国インターネット広告研究報告」によると、中国における WEB マーケティング市場は急速に発展を遂げており、産業形態は次第に成熟度を高めている。同社の統計データによると、2004年、WEB マーケティングの市場規模は前年比73.9%増の31.7億元、2005年には49.2億元、2006年には75.3億元に達する見込みだ。

■インターネット広告の市場規模 2004年インターネット広告の市場規模は、前年比75.9%増の19億元(約240億円)となった。2005年には27億元(約340億円)、2006年には40億元(約504億円)に達すると予測されている。

・2003年規模:10.8億元(約135億円)

・2004年規模:19億元(約240億円)

・2005年規模:27億元(約340億円)

・2006年規模:40億元(約504億円)

中国の広告業界の中でも、インターネット広告は高い伸び率を誇っている。しかしながら広告業界全体の中ではわずか1.5%前後のシェアに過ぎず、諸外国のインターネット広告市場に比べればまだまだ小さい。現にアメリカやヨーロッパのインターネット広告市場は広告市場全体の5%から7%を占めており、日本や韓国においても約4%に達している。中国のインターネット広告市場規模は現在のところまだ小さいが、インターネット利用者が今後も増加することを考慮すれば、市場はこれからも伸びていく傾向にあると言えるだろう。

■中国インターネット広告の実情 中国にもインターネット広告を取り扱う WEB サイトは多く見られる。新浪(sina)の広告収入はインターネット広告業界において最大であり、その2004年の広告収入は5億元(約63億円)に達した。アクセス数の多い人気エリアの広告価格は1日で数十万元すると言われ、数か月前に予約をしなければならない状況と言われている。捜狐(sohu)も2004年にオンラインゲーム、不動産の専門メディアを持つに至り、その勢いでインターネット広告収入の面で新浪との差は縮まっている。

新浪と捜狐の2001年から2003年の3年間に広告収入は約2倍〜3倍にまで増加し、この2社の中国インターネット広告市場全体に占める割合は約55%にまで達している。

網易は2004年にメディアチャンネル建設を重要視し、TOM やQQなどもネット広告代理店開拓で広告収入を伸ばしていると言われている。Yahoo!も積極的にインターネット広告事業に取り組んでおり、更には MSN 中国も2005年ネット広告市場への本格参入を予定している。それにより市場競争はますます激化すると予想される。

またインターネット広告投入量が多い業界としてIT、ネットサービス、携帯電話、自動車、不動産などの業界が挙げられるが、その中でも自動車および不動産広告の支出額は前年より大幅に増加した。一方、ユーザーがネット上で最も多く閲覧する広告はデジタル製品関連、次いでソフトウェア/ゲームと携帯電話となった。また64%のユーザーが画像を使用した広告に最も引きつけられると答えており、その中でも動画のストリーミング広告に最も引きつけられると答えている。

■検索エンジン広告の市場規模

検索エンジン広告の市場規模を見てみると、2003年は6.9億元(約86億円)だったのに対し、2004年は前年比74%増の12億元(150億円)に達した。2007年の検索エンジン広告の市場規模は、53.5億元(約670億円)と予想されている。【続く】 (記事提供:チャイナサーベイ)

中国のハッカー集団?靖国神社HPにサイバー攻撃

2005/01/06 読売新聞 Yomiuri On-Line

 靖国神社(東京・九段北)のコンピューターに大量の不正データを送り、ホームページ(HP)への接続を妨害する「サイバー攻撃」が長期間行われていることが5日、分かった。

 警察当局は、中国のハッカー集団などによる組織的攻撃との見方を強めている。靖国神社は事実の公表を控えていたが、今後も被害の拡大が予想されるため、5日にHPに抗議声明を掲載し、攻撃中止を呼びかけた。

 靖国神社によると、サイバー攻撃は2001年8月の小泉首相の参拝後に始まり、断続的に行われている。1分間に最高90万回も集中することもあり、昨年はHPが5回ダウンした。

 昨年12月には、中国国内のインターネット掲示板に、「日本に良い元旦を過ごさせない」として、今月1日午後9時半に靖国神社に一斉にサイバー攻撃をするよう呼びかけるメッセージが載った。実際に攻撃が行われ、HPは閉鎖に追い込まれた。

 靖国神社がネット上の住所に相当する「IPアドレス」を調べたところ、ほとんどが中国のものだった。昨年2月から被害相談をしている警察当局も、不正データの発信元は中国が大半と見ている。

 靖国神社はHPに掲載した声明で、「国家のために尊い生命を捧(ささ)げられた250万柱の御祭神に対する攻撃であり、日本国に対する悪意に満ちた挑戦だ」と攻撃を非難している。

中国がダンピング認定 日本などの光ファイバー

2005/01/04 The Sankei Shimbun

 中国商務省が、日本、米国、韓国産の光ファイバーについて、ダンピング(不当廉売)を認定する「クロ」の最終決定を下したことが4日分かった。反ダンピング関税率は7−46%で、期間は1月1日から5年間。情報技術(IT)ブームで中国市場での需要が急増している光ファイバーのダンピング認定は日本企業の輸出にも影響を与えそうだ。

 商務省が1日付で発表した公告によると、中国メーカーの申し立てにより、同省は2003年から3カ国産の光ファイバーのダンピング調査を進め、最終的に中国企業に実質的な損害を与えていると判断した。

 商務省は昨年6月、3カ国産の光ファイバーにダンピング仮決定を出しており、日本製品のダンピング率はすべて46%だった。(共同)

次世代高速ネット網開通 中国、IPv6技術で

2004/12/25 The Sankei Shimbun
 中国が展開を進めている次世代の高速インターネット網「CERNET2」が25日正式に開通した。次世代インターネット規格の「IPv6」を採用したものとして世界最大という。

 新華社電によると「CERNET2」は中国国内の大学や研究所を結んでいる学術ネット「CERNET」の後継版で、1998年から実験を始めた。毎秒1ギガビット以上の高速で中国の主要都市20カ所の高等教育機関数百カ所を結ぶほか、海外とも接続する。

 将来は一段と高速化し、教育や研究目的以外に交通管制や遠隔医療などにも活用するという。(共同)

北京:国産ソフト採用?MS社の最終協議が焦点

2004/12/03 中国情報局

  北京市政府のソフトウエア買い付けに関して、金山軟件(キングソフト)などオフィスソフトメーカー3社が、北京市政府関連部門とソフトウエア買い付けで合意したと伝えられた。今月中にも納品をするもよう。2日付で新浪科技が伝えた。

  今回の北京市のソフト買い付けでも、一騒動起こったが、ようやく一段落。しかし関係者は、米マイクロソフト社の買い付け進展状況や、国内メーカーの協議状況などについても、分からないとコメントしている。

  これまで、OSの買い付けに関して、11月17日に、一旦はマイクロソフト製品が受注と発表され、国産Linux系統の中科紅旗などは漏れ、そのほかのオフィスソフトなどでも、マイクロソフト社が獲得するとされた。

  そのため、「北京市の行為は、国産ソフトに打撃を与えている」などという批判が高まり、同26日、緊急会議が開催され、同28日には、北京市は「国産ソフトの買付と民族ソフト産業の発展育成」を標榜した。

  今回、金山軟件など中国メーカーが正式に北京市と契約したことが伝えられたことにより、今後の焦点は、一旦は成立したとされるマイクロソフトとの協議が、どのように決着をみることになるのかに絞られてきた。(編集担当:田村まどか)

北京市、MSとの契約取り消し 英紙報じる

2004/11/30 The Sankei Shimbun
 30日付の英紙フィナンシャル・タイムズは、北京市当局がいったんは決定していた、ソフトウエア最大手の米マイクロソフト(MS)からの2900万元(約3億6000万円)相当のソフトウエア調達の契約を取り消した、と報じた。中国のソフト会社が、海外の巨大企業による中国市場進出に対して強く反発したためだという。

 中国の政府調達部門は海賊版ソフトが横行しているが、市場規模が大きいため将来的に重要な市場。北京市当局の契約取り消しは、MSの今後の中国市場での展開にとり打撃となりそうだ。

 北京市当局は今月、MSから同社製の「ウィンドウズ」と「オフィス」を調達すると発表。これに対し、中国の企業やメディアの間で、地元企業より海外メーカーを優先した市当局の対応をめぐり激しい論争が起きた。

 同紙によると、多くの中国当局者はMS製品の人気が高まることについて、国家の安全保障や国内企業の育成を脅かすと懸念している。(共同)

北京:ソフト購入、相次ぐ批判でMS買付を撤回

2004/11/29 中国情報局

 北京市政府のオフィシャルサイトに27日、同市政府のソフトウエア買い付け公告の訂正が掲載された。これによると、米マイクロソフト社からのOS買い付けを取り消すとある。28日付で新浪科技が伝えた。

 Linux系統のOSについては買い付けがなく、OS、オフィスソフト、セキュリティソフトの大部分をマイクロソフト社が獲得する見通しであるとの情報が流れ始めたのは17日。疑問の声はメディアだけでなく、政府内部からも上がった。

 24日には「Linuxと政府買い付け」というシンポジウムが開催され、中国情報産業部、中国科技部、版権協会の上層部及び中国国内ソフト産業の企業代表や専門家などが参加した。情報産業部製品局の丁文武・副局長はこの席で、情報産業部は迅速に今回の買い付け計画について調査を行い、国務院弁公庁などに報告すると述べた。

 こうした動きを受けて26日、北京市政府は関連部門を召集して緊急内部会議を開催。その結果、国産ソフトの買い付け額をいくらか引き上げることが決定された。また28日には、北京市の範伯元・副市長が「2004中国企業創新年会」で、「積極的に国産ソフトを使用し、中国ソフト産業の発展を支えていく」と発言していた。

 今回、北京市政府は相次ぐ批判に方向転換を余儀なくされたものとみられる。業界関係者によると、マイクロソフト社からのOS買い付け「取消し」決定で、中科紅旗のLinux系統のOSが買い付けを獲得する可能性が高いとしている。(編集担当:中村彩)

政府部門が国産ソフト優先 中国が新ルール準備と英紙

2004/11/26 The Sankei Shimbun
 26日付の英紙フィナンシャル・タイムズは、中国政府が政府各部局に国産ソフトウエアを一定程度、優先的に利用するよう義務付ける新たな規制を打ち出すもようで、これにより一部海外企業が巨大な中国の政府調達市場から締め出される懸念が浮上してきた、と報じた。

 業界関係者に示された政策原案によると、政府の調達部門にソフトウエアを「国産」「非国産」「好ましい非国産」に分類するよう義務付けており、「非国産」ソフト購入時には特別許可を申請する必要がある。

 ソフト調達問題は、北京市当局が米マイクロソフトのソフトを2900万元(約3億6000万円)で購入したと伝えられたことから今週の焦点に浮上した。中国のライバル会社は入札参加の機会が与えられなかったとしており、地元メディアは地元企業より米国の“独占業者”を支持する決定に疑問を示していた。(共同)

北京:国産擁護なし、ソフト政府購入はMS中心に

2004/11/25 中国情報局

 11月末に決定する北京市政府のソフトウエア買い付けで、OSを中心にオフィスソフト、セキュリティソフトの大部分を米マイクロソフト社が獲得する見通しとなった。24日付で新京報が伝えた。

 また、北京市政府はマイクロソフト社から、3年間、その全てのソフトを無料で使用できる権利を、2925万元で購入すると伝えられている。

 共創開源軟件公司の関係者は、「北京市政府の今回の買い付けでは、われわれや中科紅旗など中国国内のLinux系メーカーにOS買い付けでの打診はなく、あったのはオフィスソフトのみ」と語る。

 オフィスソフトでは、マイクロソフト社以外に共創開源、金山軟件(キングソフト)などの国内メーカーが選ばれている。また、セキュリティソフトは冠群金辰軟件公司、瑞星公司、江民科技の3メーカーも選ばれた。

 今回の北京市政府の動きが国産ソフトに打撃を与えるという指摘もある。しかし、「政府は産業の管理部門であると同時にユーザーでもあり、各部署での使用習慣や使いやすさを考慮する必要から、国産ソフトを保護しすぎるわけにもいかない」との見解を示す関係者も。(編集担当:中村彩)

中国:政府の国産ソフト買付政策いよいよ公聴会

2004/11/07 中国情報局

 財政部国庫局と情報産業部産品局が11月第2週に、中国政府のソフトウエア買い付けに関する詳細を規定した「ソフトウエア政府買い付け管理規則」の公聴会を開催することが明らかになった。ZDNet Chinaが伝えた。

 業界関係者によると、国庫局が発表した2004年の政府買付プロジェクトの要点としては、「ソフトウエア政府買い付け管理規則」を策定し、国産製品の買付けを促進するというもの。公聴会の開催は、「ソフトウエア政府買い付け管理規則」の施行が間もなくであることを示すものとみられる。

 これまで政府の関連部門は、オンラインや専門家の討論会などさまざまにパブリックコメントを募集してきた。施行の時期に関しては、03年12月や04年7月などといわれてきたが、ともに実現せず。その後も施行までのタイムテーブルはなかなか発表されなかった。

 なお外資系企業、外資系合弁企業、海外企業の中国事務所などは、本国の大使館で関係者と会談の機会を持つことができるとしている。(編集担当:中村彩)

「社会不安招く」…中国当局が反日サイトを閉鎖

2004/08/31 The Sankei Shimbun
 中国で反日運動を展開している民間ウェブサイト「愛国者同盟網」が30日深夜、中国の鉄道高速化プロジェクトの日本企業落札に反対する署名活動をしたため中国当局によって閉鎖されたことが分かった。同サイトのメンバーが31日明らかにした。

 30日から始めた署名活動は22時間で6万8733人分を集め、その直後に当局から「社会不安を招く」との理由で閉鎖されたという。中国政府の決定に反対する署名のため、運動拡大を恐れて当局が閉鎖したとみられる。

 鉄道高速化プロジェクトの入札は、国内在来線用の新型車両導入のためで、中国鉄道省は29日、川崎重工業など日本企業6社と提携した中国の鉄道メーカーを含め、応札した3社の落札を発表した。

 反対署名を実施した理由について、メンバーの1人は「自国の産業を発展させたい。外国の先端技術の導入には反対しないが、落札の過程が不透明だ」などと説明した。

 愛国者同盟網は2000年に北京で登録。これまで尖閣諸島(中国名・釣魚島)や旧日本軍の遺棄化学兵器問題などで反日世論を盛り上げてきた。尖閣諸島の領有権を主張する民間団体「中国民間保釣(尖閣防衛)連合会」も、同サイトと密接な関係がある。(共同)

中国:国産ソフト優遇策を撤回、長期的影響配慮

2004/08/13 中国情報局

 中国政府が提出する予定だったソフトウエア産業育成のための優遇策が、見送りとなる模様。長期的にみた場合、産業の発展をかえって阻害するというのが理由。13日付で、賽迪網(CCID NET)が外電も引用して伝えた。

 国務院は、政府機関及び国有企業がソフトウエアを購入する際に、50−70%は国産製品を使うという規則を、今年の夏にも提出する予定だった。短期的には大きな効果があるはずだが、長期的には逆効果であるという声が出はじめていた。

 「政府買付法」などによれば、中国の中央及び地方の政府機関などが何らかの物資を調達する場合、極力国産製品を採用することが義務付けられている。これを踏まえた上で、関連部門では「ソフトウエア政府買い付け管理規則」の制定に動いていた。

 また、先日、国務院の呉儀・副首相はソフトウエア産業育成の方針を明確に打ち出していた。それから急転直下、中国政府のこの方針転換に、APCO WorldwideのPatrick Horgan常務取締役は「中国のソフトウエア市場に健全な育成に対する、責任ある判断だ」と、歓迎している。

 中国情報産業部関係者によると、今年、中国のソフト産業の市場規模は250億ドルに達する見込み。この数字はIDC(インターナショナル・データ・コーポレーション)が予想していた30億ドルをはるかに上回っている。

 今回の方針転換によって、特にOS分野としてのLinux導入への動きにどのような影響が出るのかは今のところ不明。(編集担当:如月隼人)

中国ハッカー集団、日台のサイト攻撃か 香港紙報道

2004/08/06 The Sankei Shimbun
 6日付中国系香港紙、文匯報は、中国のハッカー集団がこのほど約1900人を組織、靖国神社や官庁など日本と台湾の約200のウェブサイトに対し大規模なサイバー攻撃を始めたと報じた。

 同紙によると、攻撃は「中国ハッカー八一反撃戦」として1日から1週間続ける計画。メンバーは中国大陸のほか香港や台湾などにもおり、攻撃の「戦績」を分析するなど、グループごとに役割を分担している。

 日本の首相官邸や外務省、防衛庁など8政府機関のサーバーコンピューターには1日以降、大量のデータが送られ、一時的にホームページへのアクセスが困難になった。細田博之官房長官は5日の記者会見で、攻撃元は不明だが、「特別な影響は出ていない」と説明していた。

 尖閣諸島の中国領有権を主張する民間団体「中国民間保釣(尖閣防衛)連合会」のサイトが7月末、「尖閣諸島は日本のものだ」などと書き込まれたことへの「反撃」に出た可能性がある。

 メンバーの1人は同紙に「台湾のサイトは基本的にまひさせることができるが、日本のサイトは比較的強く、官邸サイトなどは攻撃後、数秒で回復してしまう」と述べたという。(共同)

わいせつHP700件閉鎖 中国

2004/07/28 The Sankei Shimbun
 27日の新華社電によると、中国公安省が今月16日から実施したインターネットのわいせつホームページ(HP)取り締まりで、25日までの10日間に全国で700件近いHPを閉鎖、関係者計224人を拘束した。

 中国は6月末時点のネット利用者が前年より28%増え8700万人に上り、利用者数で米国に次ぐ「ネット大国」となったが、わいせつHPも急増。同省担当者は「有害情報がはんらんする勢いを食い止めることができた」と取り締まりの成果を誇っている。(共同)

中国のネット人口28%増 8700万人、世界の1割

2004/07/20 The Sankei Shimbun
 中国科学院が運営する中国インターネット情報センターは20日、2004年6月末時点の同国のインターネット利用者が前年比28%増の8700万人になったと発表した。

 総人口に占める利用者の割合は6・7%と普及率はまだ低いが、全世界のネット利用者約7億8600万人(5月末時点)のうち、既に11%を占めているという。

 内訳では、ブロードバンド利用者が急速に増え、前年比217%増の3110万人に達した。

 ネット利用者数で中国は2002年に日本を抜き、米国に次ぐ世界第2位のネット大国となっている。(共同)

日本製品の不当廉売仮決定 光ファイバーで中国商務省

2004/06/16 The Sankei Shimbun
 中国商務省は16日、日本、米国、韓国3カ国産の光ファイバーがダンピング(不当廉売)で国内業界に損害を与えていると認定した仮決定を出し、同日から臨時措置として3カ国産の製品に対し、輸入時にダンピング率に応じた保証金の支払いを課すと発表した。

 認定されたダンピング率は7−46%で、日本製品はすべて46%。中国企業の申請に基づき、同省が昨年7月から調査を実施していた。

 対象製品は、各種の光ファイバーケーブルなどに用いられている。今後の正式決定でダンピングが確定、制裁関税が発動されれば、オフィスビルなどの建設ラッシュで需要の強い中国市場への輸出で、日本製品に大きな影響が出そうだ。(共同)

中国政府、Chinese Wikipediaへのアクセスを遮断

2004/06/15 ITmedia News

中国政府が同国のインターネットユーザー向けオープンソース百科事典「Chinese Wikipedia」へのアクセスを遮断していることを、同サイトの複数の寄稿者が伝えている。

 中国政府が同国のインターネットユーザー向けオープンソース百科事典「Chinese Wikipedia」へのアクセスを遮断していることを、同サイトの複数の寄稿者が伝えている。

 Chinese Wikipediaは、オンライン英語百科事典「Wikipedia」の中国語版。Wikipediaは数カ国語のバージョンが提供されており、匿名のビジターを含め、誰でも編集に参加できる。中国語版も含めてすべてのバージョンのWikipediaでは、全項目について中立の視点を取る方針とGNU Free Documentation Licenseを採用している。

 Chinese Wikipediaはこれまで当局に遮断されたことはなかったが、6月3日に同サイトのアクセス遮断が始まった。6月4日は天安門事件の記念日であり、中国政府は毎年この日に向けて反体制派を取り締まり、検閲を強化する。

 ある寄稿者は、記念日を前にこの事件に関する項目への寄稿者の関心が高まっていたことを指摘し、4日に先駆けてアクセスが遮断されたのは意外ではないとしている。

 13日にはWikipediaの全バージョンにアクセス遮断が広がり、中国当局は14日午後に、中国語版と英語版にアクセスできなくなっていることを認めた。

 遮断を撤回させるために打つ手はほとんどないと寄稿者たちは懸念している。Menchiと名乗る寄稿者は「見通しは暗い。寄稿者たちは、アクセス遮断が撤回されるか、永久に続くか様子を見ているところだ」と語る。

 アクセス遮断が続けば、Chinese Wikipedia拡大に向けた取り組みは頓挫するかもしれない。同サイトの定期寄稿者は約100人、収録項目数は英語版の28万3000件には遠く及ばないが、5月半ばの9000件強から1万915件へと急速に拡大している。

反体制ネット情報の取り締り強化 中国、通報サイト開設

2004/06/12 The Sankei Shimbun
 中国政府系の中国インターネット協会は12日までに、ポルノや暴力のほか民主化や民族独立など反体制運動にかかわるネット情報を取り締まるため、通報を受け付けるウェブサイト「違法・不良情報通報センター」を開設し、一層のネット統制強化に乗り出した。

 同サイトはポルノなどに加え(1)憲法の原則に反対(2)国家の安全を害し国家機密を漏らす(3)民族の団結を損なう(4)社会の秩序を乱す−などの情報を通報対象と規定。

 通報を受けて協会の「ネット情報サービス活動委員会」が内容をチェック。是正、改善に応じない場合は情報を公表したり、政府の担当部門に通告するとしている。

 中国ではネット利用者が「世界2位」(情報産業省)の8000万人に達し、ウェブサイト数も59万に上った。ネット上での政府批判も増えているが、外国の人権団体は「民主化を求める言論への規制はより厳しくなった」と批判している。

 2002年11月に胡錦涛指導部が発足して以来、共産党や政府の情報公開を進め、国内メディアに対する規制も一部緩和する動きが出たが、党・政府への批判につながる報道にはなお厳しい規制が続いている。

 <中国のインターネット事情> 中国はインターネット利用者が約8000万人と、米国に次ぐ世界第2位のネット大国。世界のインターネットに連結したのは10年前で、77番目の国と出発は遅かったが、近年のパソコンの普及と情報技術産業の成長で、急速な発展を遂げた。

 公安省、国家安全省などのネット監視チームが反体制の言論やポルノ、暴力などのウェブサイトを取り締まっているが、完全な規制は難しく、民主化要求や体制批判などの書き込みがあるサイトも多い。(共同)

迷惑メールの拠点、中国に 現地紙報道

2004/05/31 The Sankei Shimbun
 電子メールで不特定多数に広告などを送り付ける迷惑メールは、米国に次ぎ中国遼寧省が世界第2の発信源になっていることが英国の反迷惑メール組織などの調べで分かった。広州紙、二十一世紀経済報道が31日までに報じた。

 同紙によると、中国から送られる迷惑メールの3分の1は、遼寧省の北朝鮮国境に近い丹東市と撫順市のサーバー経由で発信されたことが判明。同省には規制の厳しい海外の組織から送信を請け負う「地下組織」があるとみられるという。

 送られた迷惑メールはバイアグラの広告など。発信者2人も特定されたが、米国のように迷惑メールを禁止する法規制が中国にはないため、特段の措置を取ることはできないという。(共同)

“サイバー万里の長城”の中に言論の自由はあるか (1/2)

2004/05/21 ITmedia News

中国政府によるインターネットの検閲はしばしば批判されているが、「メディアの報道には誇張があり、想像されているよりもずっと自由でオープンだ」と専門家は指摘する。(IDG)

 中国でインターネットが開放された当初、一部の観測筋は管理不可能な情報の波が押し寄せ、中国政府の崩壊につながるのではないかと予測した。

 しかしここ10年の出来事から、そうした予測が外れたことが分かってきた。中国政府はインターネット上の情報の流れを検閲することも、それをある程度容認することも可能だということを実証している。

 政府が一部Webサイトへのアクセス遮断やディスカッショングループの検閲を図るなど、中国ではインターネット上の検閲に関する問題が浮上し、日ごろから人権擁護団体や西側諸国の観測筋から批判を浴びている。しかし、中国におけるインターネット検閲と情報アクセスの問題は、こうした批判や西側の多くの報道が示唆するよりも、ずっと複雑で微妙なものだ。

 北京に住む匿名希望のあるインターネット利用者はIDG News Serviceに対し、「西側のメディアは誇張しているとは思うが、確かにこの問題は存在する。否定はできない」と答えた。

 インターネットコンサルティング企業ChinaLabsの主席コンサルタント、フー・ヨン氏は、西側のメディアがインターネット検閲を誇張して報じているという見方に同意している。「この種の報道は実際中国で起きていることを伝えているが、その重大性を強調し過ぎている」と述べた。

 インターネット検閲の問題に注目しすぎるあまり、インターネットによって中国での表現の自由が拡大されたことが見落とされていると同氏は指摘する。「想像されているよりもずっと自由でオープンだ」とヨン氏。

 しかし、こうした自由には限度がある。オンラインでコンテンツを掲載したり、ディスカッショングループに参加するインターネット利用者はたいてい、どんなトピックなら政府が自由な討議を認めるかを熟知しており、その結果、自主規制によって発言を和らげている。一部観測筋がこうした現象を指摘し、中国外の言論の自由擁護派はこれを非難している。

 中国政府は特定Webサイトへのアクセス遮断やドメイン名のハイジャックといった行為を公式に認めていないため、同国のインターネット検閲の範囲や影響を把握するのは難しくなっている。この空白を埋めるべく、中国におけるインターネット検閲プログラムの範囲について理解を深めるための研究が幾つか行われている。

 米ハーバード大学のBerkman Center for Internet & Societyが2002年に実施した調査によると、日を違えて中国内の異なるプロキシサーバ2台から20万以上のWebサイトにアクセスしようとしたところ、1万8931件のサイトにアクセスできなかった。遮断されたWebサイトの大半は性的な表現が含まれるものだったが、中には報道、健康情報、教育、娯楽などの情報を提供するWebサイトも含まれていた。

 国境を越える記者団(RSF)が2003年に中国のWebサイトによってフィルタリングされるコンテンツを調べた調査結果では、ディスカッションフォーラムに掲載されたメッセージの60%が、投稿から1カ月以上にわたってオンラインに残っていた。政府の批判など、検閲者が問題ありと判断するコンテンツを含むメッセージに絞ると、この数字は55%にまで下降したとRSFは報告している。RSFによると、その55%のうちの半分以上は、その後オンラインフォーラムの監視を担当するWebマスターによって削除された。

“サイバー万里の長城”の中に言論の自由はあるか (2/2)

2004/05/21 ITmedia News

 フィルタリングの程度はサイトによって幅があり、商用サイトが運営するディスカッションフォーラムは一般的に、公的なWebサイトに比べてオープン性が高いとRSFは伝えている。RSFは、中国の国営通信社である新華社通信のディスカッションフォーラムには、中国政府を批判する投稿は一切掲載されていないと指摘。これに対して中国最大のWebポータル「http://www.sina.com.cn」を運営するSINA(新浪)提供のディスカッションフォーラムでは、政府を批判する投稿の50%が掲載されているという。

 ある研究者は、中国でインターネット検閲が行われていることは経験的に証明されているが、こうした検閲はオンライン情報へのアクセスを大幅に制限するものではないとしている。

 中国におけるインターネットの研究を続けるジェームス・マジソン大学のジーン・ワン助教授は「大きな問題だとは思わない」と語る。

 中国政府は全力をもって検閲に取り組んでいるものの、同国内のインターネット利用者は、政治的に微妙な情報にも頻繁にアクセスできるとワン氏は指摘。利用者は遮断されているWebサイトに掲載されている情報を知っていることが多く、政府による検閲の意義は薄れている。

 「私が本当に興味深く思ったのは、実際のところ利用者がインターネット上にさまざまな情報源を持っていることだ。政府がこうした情報を100%コントロールする手段はない」とワン氏。

 その結果として矛盾が生じているとフー氏。インターネットに対する中国政府の姿勢は、中国インターネット利用者が入手できる情報を管理しようという欲求と、インターネットが国家の経済発展と現代化にとって重要なツールであるという認識の間で揺れているという。

 「政治家たちは実際問題として、政治活動の土台にならない限り、人民にストレスを解消する手段――それこそがインターネットがもたらすものだ――があるのは良いことだということが分かっている」と香港大学のJournalism and Media Studies Centerで技術ディレクターを務めるアンドリュー・リウ準教授は話す。

 中国のインターネット利用者がフラストレーションを発散させる場になっているオンラインフォーラムの一例として、政府系の「人民網」紙のWebサイトにあるディスカッションフォーラム「強国」が挙げられる。人民網は中国共産党の公式新聞で、同紙の論説は一般的に、中国政府の政策の権威ある声明と見なされている。5年前から運営されている強国フォーラムは、中国でどれほどオープンなインターネットディスカッションができるかを強調している。

 「このフォーラムではいろんなことを言える。現在の指導者に対する批判さえ可能だ。非常に開放的なこのフォーラムは、人民網の鼻先にある」とフー氏は主張する。

 人民網などインターネット上で認められ始めたばかりのオープン性は、これから起こることの前兆だ。行く行くはインドや西側諸国などに対する経済競争力が必要になり、中国政府は情報流通に対する規制をもっと緩やかにするだろうとリウ氏は語る。

 「中国におけるインターネットは、民主化への要求ではなく、ビジネス上の目的から自由化されるだろう。良きにつけ悪しきにつけ、ものを言うのは金だ」(リウ氏)

“中国因特網”の歴史を振り返る

2004/05/19 ITmedia News

中国で初の因特網(インターネット)接続が確立されたのは10年前の今週だが、万里の長城を越えた国際接続はその前から行われていた。インターネットに至るまでの中国の取り組みを簡単に振り返る(IDG)

 10年前の今週、中国で初のインターネットへの直接接続が確立された。しかし同国でのコンピュータネットワークの歴史は、そのずっと前にさかのぼる。

 多くの国と同様に、同国最初のコンピュータネットワークはマシン同士をつないだもので、それが後に、公衆データネットワーク上で、X.25プロトコルを介して一群のマシンを相互に接続するという形に進化した。ほかの国と同様に、初期の段階では学術・科学セクターがネットワーキングにおいて主導的な地位を立ち、コンピュータによって、離れた場所で同じようなテーマに取り組んでいる研究者たちのデータ共有や電子メール交換を促進していた。

 1986年、北京コンピューター応用研究所(ICA)の研究者が独カルルスルーエ大学と共同でChina Academic Network(CAnet)を構築、中国の主要な公衆データネットワークの1つとなるものの原型が初めて誕生した。その1年後、北京の中国科学院高能物理研究所(IHEP)がジュネーブの欧州合同素粒子原子核研究機構(CERN)と共同でネットワーク間接続への取り組みを開始した。IHEPは後に中国初の完全なインターネット接続を確立したが、その前にほかの多数の機関が国外の大学やネットワークとX.25ベースの接続を確立している。

 以下に中国初のインターネット直接接続に至るまでと、その後の主要な出来事を簡単に記す。

1986年 北京ICAがカルルスルーエ大学の支援を得てCAnetを立ち上げる。

1987年 IHEPが初の国際接続を確立。接続先はジュネーブのCERNだった。

同年 北京のICAがSiemensの7760/BS2000コンピュータで、300bpsのパケット交換式データネットワークを介してカルルスルーエ大学と接続。CAnetでは初の国際接続の確立となる。その後一月と経たないうちに、チェン・ティエンバイ氏が中国初の国際電子メールを送信。その送信日とメッセージのタイトルに関しては諸説がある。送信日は9月14日で、「われわれは万里の長城を越えて世界の隅々にまで到達できる」というタイトルだったという説もあれば、送信日は9月20日で、タイトルは「万里の長城を越えて世界に加わる」だったとも言われている。

1990年10月 国防情報網ネットワーク情報センター(DDN-NIC)で、チェン氏が中国を代表して同国の国際トップレベルドメイン「.cn」を登録。同国にはまだ直接インターネット接続はなく、.cnネームサーバはカルルスルーエ大学に置かれた。

1991年3月 IHEPがスタンフォード大学線形加速器センター(SLAC)との間に、DECnetを介して直接ダイヤルアップ接続を確立。

1992年12月 精華大学で中国初のTCP/IP学内ネットワーク「TUNET」が稼動。

1993年3月2日 IHEPと北京空港の衛星地上局の間に信頼性のある接続を確立する際に問題が発生。その後、64Kbpsの接続が完了し、現地時間の午前7時19分にIHEPに正式に引き渡された。

1994年1月 米エネルギー省のエネルギー科学ネットワーク(ESnet)と合意に至る。これにより一定の条件(すべてのESnetサイトに通知するなど)を満たす限り、中国のIPトラフィックをインターネット上で転送できるようになった。

同年2月 IPトラフィック開始準備として、IHEPが中国で初めてCiscoのルータを導入。米国側の接続はSLACからESnetに引き渡された。

同年4月18日 ESnetサイトに、中国のIPトラフィックが間もなく同ネットワークの横断を開始すると通知するメールが送られた。この通知は、中国が直接IP接続を確立する際に満たさなくてはならない条件の1つだった。

同年5月15日 IHEPが中国初のWebサーバを設置。このサーバはIHEPのホームページをホスティングし、このページには同機関や中国の技術、文化や旅行に関する情報が掲載された。

同17日 SLACから米西海岸の主要なインターネット交換ポイントFIX-Westへの接続が確立され、IHEPの接続が完全にインターネットに公開された。

同21日 .cnドメインを管理するルートサーバがドイツから中国に移される。

同24日 中国科学院、北京大学、精華大学による中国国家コンピュータおよびネットワーク施設建設(NCFC)プロジェクトが、Sprintの回線を介して米国と64Kbpsの直接インターネット接続を開設。テストとして、精華大学から米メンロパークのスタンフォード研究所(SRI)にTelnet経由でメッセージを送信した。ラウンドトリップタイムは3分。メッセージは北京でインターネット接続が開通したことを知らせる内容で、インターネット協会のヴィント・サーフ氏に送られた。

同年6月28日 北京化工大学が東京大学理学部の支援を受けて、専用線からのインターネット接続のテストを開始した。

同年7月18日 IHEPが64Kbps回線を介して、筑波大学の高エネルギー物理学研究所と2番目の国際DECnet接続を確立。

同年9月20日 北京化工大学が東京工業大学と直接インターネット接続を確立。

中国でインターネット10周年――「初のネット接続」の功労者に聞く

2004/05/17 ITmedia News

1994年5月17日、中国で初めてインターネット接続が確立された。それから10年、その功労者スー・ロンシェン氏に当時の経緯やこれからの中国のインターネットについて聞いた。(IDG)

北京の中国科学院高能物理研究所(IHEP)コンピュータセンターの元副所長スー・ロンシェン氏は、中国のインターネットの草分けの中でも突出した人物だ。

 1990年代初めに、同氏はスタンフォード大学の線形加速器センター(SLAC)と密に協力して、IHEPとSLACを結び、米中の物理学者によるプロジェクト「Beijing Electro-Spectrometer(BES)Collaboration」の研究者たちをつなぐ64Kbpsの直接接続を確立した。1994年5月17日、この接続が中国で初めての完全なインターネット接続となった。

 スー氏は最近IDC News Serviceの電話取材に応え、中国初のインターネット接続の10周年について語るとともに、同氏がこの歴史的な接続において果たした役割を振り返った。

――どのようにしてインターネットのことを知り、その可能性を理解するようになったのですか?

スー氏 1980年代に、私は何年もの間SLACで働いていました。その当時はDECnetやBITNETなどのネットワークがありました。それで、ネットワークは研究やほかのことにとって非常に重要だということを知りました。

 北京に戻ったとき、BES Collaborationは私にとって、SLACのスタッフやそのほか米国の教授と連絡をとり続けるという意味を持っていました。彼らは私にインターネットと呼ばれるネットワークについて話し、これは非常に便利で、ほかのネットワークよりもずっと進んでいるのだと教えてくれました。中国と米国の間にネットワーク接続を確立しようと決めたとき、われわれはインターネット接続を望んでいました。TCP/IP接続を確立しようとしたのです。

――初のインターネット接続につながったこの出来事を振り返って、インターネットが中国においてどれほど重要になるか、当時は想像できましたか?

スー氏 ええ、もちろん。インターネットは中国の将来にとって最も重要だと信じていました。私にとって、インターネットは基本的に科学的な研究のためのものでした。われわれは本当にインターネットを必要としていましたし、(中国)政府はこのプロジェクトを止めないだろうと確信していました。政府はわれわれがこれを成し遂げるのを支援しなければならなかったのです。

――当時を思い返すと、どんな気持ちになりますか?

スー氏 今でもとてもワクワクしますね。初のインターネット接続の確立に挑むのは、100年前で言うなら、新しい輸送機関を手に入れるために鉄道を敷設するようなものでした。われわれは新たな分野の開拓に取り組み、その目的はほかの人々、同朋たちに新たなアイデアをもたらすことにありました。胸躍る出来事でした。

――この接続への取り組みは科学研究が目的だったわけですが、インターネットが中国でビジネスなどほかの用途に使われる可能性を考えていましたか?

スー氏 それは考えましたが、最初はほかのことを考えるのは忘れた方がいいと思いました。私にとっては科学研究が最も大事でした。われわれにはそれが必要だったのです。ほかに心配するようなことがあれば、そうした問題は私ではなくほかの人たちが解決するだろうと思ったのです。

――過去10年間において、インターネットは中国に非常に大きな影響を与えたように思いますが。

スー氏 私もそう思います。考えもしていなかったことがたくさん起きました。こんなに多くの人がインターネットから収益を上げるとは思っていなかったし、若い人たちがインターネットにお金と時間を注ぐとも予想していませんでした。

――あなたから見て、中国での今後のインターネットの発展に関して、最大の課題は何ですか?

スー氏 技術的な面から言うと、世界中でも中国でもインターネットはハッカーに対して脆弱です。セキュリティ機能は確かに弱いと思います。私の機関や多数の同朋たちは、インターネット関連の分野に取り組んでおり、彼らは私にインターネットとインターネットアプリケーションを安定して運用する手段を見つける手助けを求めています。

――中国政府がインターネット上で入手できる情報を検閲していることについてどう思いますか? 将来的に、インターネットは中国でもっとオープンになるでしょうか?

スー氏 私の考えとしては、道のりは長く、容易ではありません。今のところ、インターネットをコントロールする方法はありません。もちろん、人々は良いコンテンツや悪質なコンテンツについて懸念しています。政府は中国内に入ってくるコンテンツをある程度コントロールしようとしてきましたが、すべてをコントロールするのは難しいと思います。

中国がDSL高速インターネット回線数で世界一! 日米も韓国を抜く新たな構図

2004/03/03 PC WEB

 米DSL Forumは、世界のDSL高速インターネットサービスの最新利用状況を調査したレポート「2003 Global DSL Subscriber Chart」を発表した。昨年は予測を上回る新規の利用者数を加え、世界各地でDSLサービスの普及が大きく進んでいる。

 同レポートによると、昨年末における世界のDSLサービス加入者数は6,384万人に達した。1年間で約2,800万回線の増加が見られており、これは前年比77.8%増の成長率となる。特に2003年第4四半期には新たに900万回線以上の増加を記録し、急速にDSLサービスが普及していることが示された。実際に調査チームを率いた英Point TopicのTim Johnson氏は、世界のDSLサービス普及状況に関する予測を出していたものの、その数字を200万ほど上回った加入者数が報告される結果になったという。

 2002年末におけるDSLサービス加入者数の国別ランキングでは、高速インターネットサービスの普及に定評がある韓国がトップに立っていた。しかしながら、2002年は4位だった中国が2003年中に大きく躍進し、新たに発表された同レポートによると、DSLサービスの利用回線数で初めて世界一に輝いている。いまや中国のDSLサービス加入者数は1,095万人を超え、今後も急速な成長を遂げると予測される。

 中国には抜かれたものの、日本においてもDSLサービスの利用が急増している様子が顕著に表れており、1,027万2,000人の加入者数で世界2位につけた。3位には911万9,000人の米国が入り、韓国は4位へ転落した。2003年第3四半期には、韓国のDSLサービス加入者数が初の減少に転じており、利用料金を支払わないユーザーを多数抱える韓国ISPの現状を打開することが大きな課題とされている。

 とはいえ、全体的な普及率を示す値となる100電話回線当たりのDSLサービス加入回線数では、27.7を記録した韓国が依然として世界をリードする。2位以下には台湾の21.4、香港の18.0、ベルギーの15.4と続いており、14.4となる日本は世界5位の普及率となった。

 なお、世界のDSLサービス加入者数のうち半数以上はアジア太平洋地域の国々に住んでおり、中国およびマレーシアでは世界トップクラスの増加率が見られているという。また、初めてDSLサービス利用者が同レポートで報告された国として、ポーランド、チェコ共和国、ハンガリー、スロベニアなどの東欧諸国が挙げられており、世界各地にDSLサービスが広まっている様子もうかがえる。

 DSLサービスの普及をサポートするDSL Forumは、今年も順調な成長を予測し、2005年末には世界で2億人のDSLサービス加入者数に到達するとの期待を表明している。

中国のインターネット利用者、日本を上回る

2004/01/16 japan.internet.com

中国政府系機関CNNICの調査において、中国のインターネット利用者数が日本を上回った。CNNICの報告の信ぴょう性は過去に物議を醸しているが、ほかに中国の躍進を裏付けるデータもある。

 中国政府系機関の中国インターネット情報センター(CNNIC)が1月15日に発表した報告書によると、同国のインターネット利用者数は2003年末の時点で7950万人に達した。

 これにより中国は、同じアジア太平洋地域に属する日本を上回ったが、首位の米国を追い越すことはできなかった。米中央情報局(CIA)の「World Factbook」によると、日本のインターネット利用者数は5600万人、米国は1億6575万人。

 年2回発行されるCNNICの統計調査報告によると、中国のインターネット利用者数は2003年に2040万人伸びた。前年と比べると34.5%の増加だ。半年前の第12次統計調査報告で、利用者数が6800万人だったことを考えると驚くべき数字だ。この調査では、インターネット利用者を「1週間に1時間以上インターネットを利用する人物」と定めている。

 この報告書には「中国のインターネット市場は大きな可能性を秘めている。既に国内で最も成長著しく、最も有力な分野となった」と記されている。

 7950万人といえば大半の国では膨大な人数になるのだろうが、総人口12億8000万人の中国ではわずか6%にすぎない。米国ではインターネット利用者は、総人口2億9034万人のうちの57%にまで及ぶ。

 中国のインターネットサービスプロバイダー(ISP)は、ChinaLink Networks、Netaway、VPM Internet Servicesのわずか3社。そしてインターネット利用者の大部分(約45%)は家庭からダイヤルアップで接続している。この報告書によると、同国に散在するインターネットカフェも、インターネット利用において大きな割合を占めている。同国のインターネット接続は25%近くが専用回線、10%程度がブロードバンド接続という。

 しかしCNNICが発表するデータは、過去に批判を受けている。2000年には複数の調査で、CNNICの報告ほどインターネット利用者の伸び率は高くなかったと思われる結果が出ている。

 CNNICの立場は、中立からはほど遠い。CNNICはトップレベルドメイン「.cn」の登録に当たるインターネット登録機関で、そのWebサイトには「情報産業部からの指示を受けている」と記載されている。

 一方、国際電気通信連合(ITU)が出すほとんどの調査では、中国は非常にいい位置に付けている。ITUは、インターネット標準化団体、民間企業、政府機関の意見の調整に当たる国際団体。

 ITUの2002年デジタルアクセス指数(DAI)報告によると、香港と台湾はそれぞれ7位と9位。DAIは国別の人口を踏まえてインターネット接続の入手しやすさ、質、インフラを評価する数値。香港と台湾は、インターネットの普及している米国、英国、ドイツ、フランスよりもDAIが高かった。

 ITUの報告書はまた、中国のインターネット利用者の半数は大学教育を受けていると記している。

Linux in China−国策としての導入は吉か凶か 

2003/12/22 中国情報局

 2001年12月28日、北京市政府が開催した記者会見にて、国産の正規版ソフトウエア購入を促進し、民族ソフトウエア産業の成長を支持すると発表、入札買付の結果、中国ベンダー6社が選定されることになった。この結果、デスクトップ版OSとして中科紅旗の紅旗Linuxと中軟網絡の中軟Linuxが選ばれ、一貫してオフィスソフトウエアとOSで独占的地位を築いてきたマイクロソフト(MS)が落選したことになる。

 中国は国策としてLinuxの導入を進める――

 世界に衝撃が走った。13億中国のポテンシャルの大きさは折り紙付き。それがMSを排除するかのように、OSの独自路線を歩むことを意味するからだ。大げさに言えば、世界のLinux産業に活気付けさせるだけのインパクトはあった。

 しかし、現実を見てみると、中国におけるLinux導入がそれほど容易に進められているわけではないことはすぐに分かる。2003年現在においても、中国におけるLinuxの普及率は公式見解でも数%にとどまっている。脱MSは中国の意地ともいえる。「中国発のOS確立」に向けて、中国の大いなる挑戦と苦悩が始まっている。

政府の検閲を問題にしない中国のネットユーザーたち

2003/06/26 Wired News

Hector Mackenzie

 北京発――中国で国家によりインターネットが検閲され、サイバー反体制活動の容疑者たちに非常に厳しい刑罰が科せられていることは、国外では人々の想像力を掻きたてるかもしれない。しかし中国国内のネットユーザーの大多数は、『グーグル』にアクセス可能かどうかといった、もっと日常的な事柄について心配している。

 確かに、米CNN社や英BBC放送のサイトに入ろうとしてもあの悪名高いサイバー版「万里の長城」(日本語版記事)に直接ブロックされる場合のほうが多い。こんな経験が、中国にいる新聞記者の関心を惹くのは当然だろう。

 しかしこのような出来事は不快には違いないが、たいていは諦めのため息をつくか、またかと首を横に振るだけで済まされる。

 結局は誰だって、最終的には自分の欲しいものを手に入れる方法を見つけ出すものだ。また、技術に明るい中国人ネットユーザーは、非常に我慢強い性格を備えている。気が遠くなるほど遅く不安定な接続状況や旧式な機器といった、理想とはほど遠い条件に慣れっこになっている一般の中国人ウェブサーファーたちは、そんな環境にもすばやく順応している。なかには、楽しんでいるユーザーさえいる。

 ただし、グーグルにアクセスする自由が侵害される問題は、面白がっているわけにはいかない。

 20代のジャーナリスト、ワン・フアさんは次のように述べている。「私の友人や職場の同僚の多くは、とくに仕事場でグーグルを常時利用している。仕事をするうえで、なくてはならないものだ。(他の一部諸国よりも)存在意義は大きいかもしれない。他の手段で情報を得るのが非常に難しかったり、時間がかかったりするからだ」

 北京の多国籍企業に勤める25歳のトゥ・シュさんは、仕事上の特権としてインターネットへの常時アクセスを楽しんでいる。余暇には、膨大な量の教材を無料で入手する場所としてグーグルを最大限に活用し、英語力の向上に励んでいるという。

 昨年9月、グーグルへのアクセスが数日間遮断された。理由は不明だが、中国では国内の政治的緊張が高まったり、2001年4月に起きた中国軍機と米軍偵察機による接触事故(日本語版記事)のような外交的小競り合いが起こったりしたときに、政府によるインターネット検閲が強化されるのが通例となっている。このときはシュさんも、英語学習を一時中断するしかなかった。しかし、問題は簡単に解消できたとシュさんは説明している。「ロンドンにいる友人に電子メールでどんなものが欲しいか伝えたら、3分もたたないうちに情報を切り取って貼り付け、送ってくれた」

 システム管理スタッフのワン・イーさんは、政治的解釈によってはネットサーフィンを禁じられる可能性も認識しているが、状況をそれほど懸念していないという。イーさんの友人も多くは同じ意見のようだ。

 「正直な話、若い人は(政治に)それほど強い関心を持っているわけではない。私は、いい仕事に就くチャンスを広げる方法を知りたくてインターネットを使っている。チャットをしたい人もいれば、ボーイフレンドを探たい人もいるし、辛い勉強のことを忘れて『カウンターストライク』のようなゲームをしたいだけという人が多い。個人的には、サイバー反体制活動家に興味を持っているような人は1人も知らない。私たちの生活にはまるで関係のないことだ」とイーさん。

 中国の国民が、サイバー版「万里の長城」を飛び越える機会を楽しんでいないと言っているのではない。グラフィック・デザイナーのツァン・チーさんは声をひそめて、欲しいものを手に入れるためのお気に入りのテクニックを披露してくれた。

 今年、非合法の気功集団『法輪功』がスパムメールを送信し、大勢が受信している。チーさんもメールを受け取った。技術面のノウハウを豊富に持っている法輪功は、いくつかのテレビ局の生放送に無断侵入し、グループの宣伝活動を行なったこともある。

 「法輪功のメッセージには興味はなかったが、添付されていたプロキシサーバー情報にはすごく魅力を感じた」と言いながら、サイバーカフェのお気に入りの隅の席に体をかがめるようにして座ったチーさんは、ざわめく店内の様子をすばやくうかがった。

 チーさんによれば、日本で作成されているという毎時間更新されるリストを使えば、たいていは数秒で欲しいものが入手できるという。23歳のチーさんは、明らかに非教育的なポルノも簡単に見つけられる、と率直に認めた。

 チーさんは早速、1989年の天安門事件の画像をいくつか探し出したが、その中身にはほとんど関心を示さず、ただ自分の主張を証明することだけが目的のようにみえた。

 中国政府当局はどうやら、画像とは違う、別のもっと単純な「脅威」に頭を悩ませている。脅威の正体は、シンプルなテキストメッセージだ。

 現在、中国の携帯電話利用者は、2億人以上いる。道路清掃員から、流行に敏感な大学の新入生、企業の最高経営責任者(CEO)にいたるまで、中国では誰もが携帯電話を持っているように思えるほどだ。そして、ショート・メッセージ・サービス(SMS)の流行がこれほど大きなインパクトを持つ国は、中国以外にはない。

 SARS(重症急性呼吸器症候群)危機(日本語版記事)の最中に自宅に閉じこめられた何百万人もの市民の間で、簡単に鬱憤を晴らす方法として、反政府的内容のメッセージ――多くの場合、辛辣な風刺や、事実に即した皮肉っぽいジョーク――の送信が大流行した。

 政治権力者の一部は、これを単なる笑い話とはみなさなかった。北京の街全体が隔離され、あと数時間のうちに消毒薬が大気中に散布されるといった噂が広がり、パニックを起こした市民が買い占めに走るなど、ただでさえ緊張した状況がさらに不安定になる一幕があったためだ。

 中国政府はSMSの情報伝達能力を軽視していない。その証拠に、政府はテキストメッセージを使って水不足になるという噂を流した広東省の男性5人を収監している。

 匿名条件で取材に応じた北京在住の電気通信アナリストは、次のように述べている。「テキストメッセージは誰にでも、手軽に、金をかけずに集団を組織する方法を提供してくれる。法輪功もこれを利用して、大量のメッセージを全く検知されずに送信してきた。好ましくないメッセージを遮断するために、政府がフィルターシステムやユーザーID確認システムを開発する可能性も考えられる」

 この可能性について質問したところ、チーさんはスクリーンに現れたエイリアンを殺す手を止めて画面から目を上げ、馬鹿にしたようにフンと鼻を鳴らした。そして、パソコンの横に置いたスタイリッシュな銀色のボディーの携帯電話機『エリクソンT29』を眺めながら、こうコメントした。「メッセージで女の子を口説いたり、友だちとジョークを見せ合ったりできれば、正直そんなの、全然気にしないよ」

“サイバー万里の長城”に穴を掘るソフト

2003/04/17 ITmedia News

中国政府が国民のWebアクセスを制限するため設置した“グレートファイアウォール”(電子版万里の長城)に、「抜け道」を掘るソフトが米国際報道局によって開発された

 米国営放送局Voice of Americaを運営するニュース/プロパガンダ機関が、中国政府が設けたネットの国境を、同国のWebサーファーが乗り越えられるようにするソフトを開発した。

 このソフトを使うと、ユーザーはMicrosoftのWindows XP/2000を走らせているPCで、簡易版の迂回Webサーバを設置することができる。迂回Webサーバは、政府や企業、学校などの機関が設置したファイアウォールの下に抜け道を掘るコンピュータ。

 今回の場合、米国は中国政府が設置したファイアウォールにWebアクセスを制限されている多数の中国のWebサーファー、そのほか米国のニュース/プロパガンダの閲覧を禁じられている世界中の人々を対象としている。

 「ニュースは厳しい検閲を受けている」と米国際報道局(IBB)のインターネット検閲対策担当プログラムマネジャー、Ken Berman氏。IBBは、Voice of Americaとインターネット放送、その他国際放送を運営している。「中国政府は米国によるすべてのラジオ放送を妨害し、国民による米国サイトへのアクセスを遮断している。中国の国民に、米国サイトを閲覧できるツールを提供したいと考えている」。

 中国は特にインターネットを厳しく規制しており、人気検索エンジンを遮断し(9月12日の記事参照)、またYahoo!などの西洋企業に対し、中国向けのWebコンテンツを自主規制するよう指示している。米国のある調査によると、中国は1万9000のニュース/医療情報/政治情報/エンターテイメントサイトを遮断しているという。

 11月にはAmnesty Internationalが、Microsoft、Sun Microsystems、Cisco Systemsなど、インターネット検閲のための技術を中国に提供している33社の名前を公表した。

 IBBのソフトのコンセプトは、ファイアウォールを回避しようとするユーザーが、ファイアウォールで遮断されていない第三者のコンピュータを介して抜け道を作れるようにするというもの。このソフトをインストールしたユーザーは、Secure Socket Layer(SSL)を使って小型Webサイトを設置でき、ファイアウォール内のユーザーはこのサイトを介してファイアウォールの外のサイトにアクセスできる。

 このソフトはファイアウォールを回避するだけでなく、Webサーファーの足跡を隠し、小型サイトを介してアクセスしたサイトを記録に残さないため、匿名性が確保される。

 このソフトは現在テスト段階にある。12月の円卓会議で、中国の情報遮断の回避が提案されたことが開発のきっかけとなった。IBBはこの提案を受けて、検閲反対運動家のBennett Haselton氏に報酬(金額は明かされていない)を支払って、使いやすい迂回サーバの開発を依頼した。

 似たようなソフトは以前から出回っているものの、世界中に普及するほどの使い勝手の良さは備えていない。

 IBBはファイアウォール回避ソフトの配布方法をまだ考え出していない。そもそもIBBのメッセージを受け取れない人々に、どうやってこのソフトのことを伝えるのかという「ニワトリと卵」の問題の解決法についても答えは出ていない。解決策として考えられるのは、中国の外にいながらも中国とつながりを持っている反体制派コミュニティの手を借りるなどの手段だ。

 昨年行われた非科学的調査によると、中国のWebサーファーの数は、米国に続いて世界第2位だという。

 米政府とHaselton氏という組み合わせは、ちょっと奇妙な感じがする。Haselton氏は、政府予算で購入した公立図書館や学校のコンピュータに、フィルタリングソフトを導入しようとする動きに反対していることで知られている。

 確かに、IBBがファイアウォール回避ソフトに研究開発資金を投じたことで、米国が進めるWebサーフィンを制限する取り組みや、ほかの用途で使われている遮断ソフトが打撃を受ける可能性はある。

 例えば、(ファイアウォールを設置したのは)弾圧的な政権ではなく、好奇心旺盛なティーンエイジャーの両親だった、ということもあるだろう。

 IBBのBerman氏は次のように語る。「われわれは、人々に迂回ソフトを使ってもらおうとしている。実際このソフトが使われ始めたとして、13歳のJoeyがこのソフトを見つけ出すだろうか? われわれは、このソフトを『民主主義への入口』と呼びたい。ティーンエイジャーが米国でこのソフトを使うかどうかについては、制限をかけるのは難しいだろう」。

 Haselton氏の方は、このソフトが米国内で使われる可能性を進んで認めている。

 「このソフトは、米国で使われているほとんどの遮断ソフトウェアプロキシ/クライアントソフトを回避できるようだ。ただ、遮断ソフトメーカーは対抗措置を取ることができる。しかしその対抗措置が実装され、すべてのユーザーがアップグレードするまでは、家庭や学校のたくさんの遮断ソフトを打ち破ることができる」(Haselton氏)。

中国政府の“検閲”でネット速度が大幅低下

2003/03/08 ITmedia News

 中国政府が破壊的かつ反道徳的とみなすWebコンテンツを管理しようとしたことにより、何百万人ものインターネットユーザーから速度が大幅に低下したとの苦情が出ている。

 AP通信の報道によると、当局がオンラインの情報の流れを監視する目的でパケット探知ソフトをインストールした後、問題が表面化した。パケット探知ソフトはネットワークのトラフィックを定期的に調べて障害や問題を検出する。中国の場合、政府がオンラインバリケードを設け、全インターネットトラフィックが監視下にある8つのゲートウェイを通過することを求めている。

中国などのWeb検閲に対抗する法案

2003/02/14 ITmedia News

 一部の国で行われている「政府によるWeb検閲」に対抗しようという法案が10月2日、米国議会に提案された。中国やシリアといった国のユーザーがインターネットの遮断と戦い、検閲を逃れるのを手助けすることが目的で、Chris Cox下院議員が提案した。

 法案は、インターネットの遮断と戦う「Office of Global Internet Freedom(世界インターネット自由局)」の設置を求め、検閲を回避するためのツール開発費として、今後2年間にわたり毎年5000万ドルの予算を割り当てるといった内容。そうしたツールの具体例として、SafeWebのTriangle Boy、Peek-a-Booty、DynaWeb、P2PネットワークのFreenet-Chinaなどを挙げている。

 さらに、Web検閲を行っている国に対する非難決議を国連で採択するよう呼びかける条項も盛り込まれた。

中国政府、『グーグル』へのアクセス遮断を解除

2002/09/12 Wired News

 中国政府は、米グーグル社のインターネット検索エンジン『グーグル』へのアクセス遮断措置を突然、解除した。遮断措置を開始した詳しい理由も謎に包まれていたが(日本語版記事)、終了も唐突だった。

 北京や上海に在住するユーザーから、グーグルのサイトがまた閲覧できるようになったという報告が寄せられた。グーグルは、オンライン上から中国語で書かれた資料を見つけ出す強力な検索機能を持っており、3000万人以上と言われる中国のネット・ユーザーに広く普及している。

 中国に本社があるインターネット・コンサルティング調査会社、BDAチャイナ社のダンカン・クラーク氏は、「インターネットが、措置に打ち勝つだけの力を持つようになったということだろう」と述べた。

 しかしなお、何か新しい検閲技術が運用されているようだ。今週に入ってから、選択的な遮断状態――ウェブサイトへはアクセスできるが、政治的に微妙な内容を扱った特定の記事やコンテンツが読めないケースが増えているという不満が、ユーザーから出はじめている。

中国政府のアクセス遮断に、検索サイトが対抗手段を提供

2002/09/12 ITmedia News

中国政府からアクセス遮断措置を取られているAltaVistaが、同国ユーザーへの代替アクセス手段に取り組んでいる。Googleのミラーサイトも多数出現

 先日、中国政府が検索エンジンAltaVistaへのアクセス遮断を開始したが、同社はこの措置を非難する声明を出した。

 週末から、中国のインターネットユーザーはAltaVistaにアクセスできなくなり、その代わりに同国政府が認めた国内の検索エンジンに転送されるようになっている。

 AltaVistaの国際事業担当ジェネラルマネジャー、Kevin Eyres氏は9月11日に次のような声明文を発行した。

 「情報への自由なアクセスは、グローバルコミュニティに情報アクセスを提供するという当社の使命の要だ。当社は中国のユーザーがAltaVista.comおよびAltaVista.co.ukにアクセスできなくなったことを憂慮している。当社はwww.raging.comなど、AltaVista.comドメインにないURLを追加して、同国のユーザーに代替手段を提供するべく取り組んでいる」。

 「現時点では、altavista.ca、altavista.ie、altavista.deなどほかの国のAltaVistaサイトは中国からでもアクセスできるようだ」。

 ライバルの検索エンジンGoogleも、中国政府からアクセスを遮断されているが、優れた技術者たちがこれに激しく抵抗している。多数のミラーサイトがGoogleからバトンタッチを受け、「中国のグレートファイアウォール(電子版万里の長城)」に対抗しようとしている。ミラーサイトがGoogleの優れた検索技術を模倣するのは不可能かもしれないが、多くのサイトがこれに挑戦している。あるサイトは、予想以上に文字通りに、Googleをミラーリングしている。

中国政府、AltaVistaへのアクセスも禁止

2002/09/10 ITmedia News

 中国政府は、共産主義の脅威となる不適切な内容に市民の目が触れることを防ぐキャンペーンの一環として、検索エンジンのAltaVistaへのアクセス遮断を開始した。

 先日は検索エンジン大手のGoogleがこの排除キャンペーンの対象にされている。

 一方、Yahoo!の中国版であるYahoo! Chinaは、今年3月、中国政府の規制に従って一部サイトへのアクセスを自主的に遮断することで政府と折り合いを付けている。

中国政府はGoogleへのアクセスを遮断

2002/09/09 ITmedia News

 中国政府はGameBoyや賭博については特に気にかけていないようだ。何しろ、同国政府はさらに厳しい検閲を行っている。中国政府は、当局が「攻撃的」あるいは「政治的に不適当」と判断したサイトへのアクセスを阻止するための技術と政治政策を採用している。

 中国政府は9月第1週、検索エンジンGoogleへのユーザーのアクセスを遮断した。Googleで中国の江沢民主席を検索すると、最初のページに法輪功(政治的気功集団として中国で禁止されている)のサイトへのリンクが含まれる、というのがアクセス遮断の理由の1つらしい。Yahooの中国版では、江沢民主席を検索しても、法輪功へのリンクや、その他の禁止されたコンテンツへのリンクは表示されない。

 Yahooなど多くのインターネットコンテンツ/サービスプロバイダーは、中国で事業を進めるにあたり、「中国公安部が発行した“コンピュータ情報ネットワークとインターネットの安全性保護に関する管理規定”の第5条に違反するコンテンツは排除する」という中国政府の行動規範に同意している。

 中国政府が禁止しているコンテンツは、政府や社会主義システムを脅かしかねないあらゆる情報、デマの拡散、少数特権階級中心の俗説の奨励、性的なものを暗示させる情報、賭博など。

「個々のユーザーグループ(子どもや大人の違いなど)にとって何が適切なコンテンツか」という問題に関しては、百者百様の見解があるはずだ。ユーザーグループが置かれている環境や地理によっても、同じことが言える。例えば、多くの企業は、従業員の集中を削いだり、業務と無関係のデータでネットワークが圧迫されるのを防ぐために、音楽ファイルのダウンロードやポルノサイトへのアクセスを禁じている。

 しかし、あなたの会社が社内ポリシーとして、GoogleやYahooへのアクセスを禁止したとしたらどうだろう? 職場で音楽ファイルのダウンロードや一般に不快と認めらるコンテンツへのアクセスが禁じられるのと、職場で検索ポータルへのアクセスが禁じられるのとは、全くの別ものだ。インターネットユーザーにとって、それは酸素を奪われたも同然だ。

 中国全体の人口からすれば、まだ同国のインターネットユーザーはほんの一握りだ。しかし、同国のインターネットユーザーは急速に増加中だ。調査会社のウェブサイドストーリーによると、現在中国のインターネットユーザー数は4500万人を超えており、世界のインターネットトラフィックの約7%を占めているという。インターネットトラフィックでは、全体の42%を占める米国に次いで、中国が2番目に多いことになる。

 最後に、インターネットを阻止できる万里の長城などない、と断言しておこう。IT技術や情報の自由を制限しようとしても、北方騎馬民族「匈奴」の侵入や反対思想の侵入を阻止するのとは訳が違うということだ。

中国政府と反体制派、ネットをめぐる攻防は続く

2002/08/27 ITmedia News(AP通信)

 ワシントン発――中国の反体制活動家は、社会の民主化を実現する手段としてインターネットを精力的に活用している。だが、中国政府の規制対策やネット利用の地域格差のため、社会の自由化が早急に進む見込みは薄いとする調査報告が米国の民間機関から出された。

 この調査報告書は、米国のシンクタンク『ランド研究所』が今週発表したもの。反体制活動家は自由化推進のためにインターネットを活用しているが、対する中国共産党政府も同じネットを使って活動家を監視していると指摘している。

 「インターネットを使えば、あらゆる権威主義政権を打倒できるとばかりに、以前はかなり楽観的な期待が広まっていた」と語るのは、報告書執筆者の1人であるジェイムズ・マルベノン氏。しかし、「中国政府はここ5、6年の間、反体制派が仕掛けてくるテクノロジー上の挑戦を、驚くほど巧みにかわす力を示してみせてきた」

 報告書によれば、2002年1月時点で中国のネット利用者は約3300万人を数えるが、一方で中国には大きな「デジタル・デバイド」が存在するという。中国のネット利用者は、その大半が北京や上海など東部の大都市に住む高学歴の若い男性だ。12億という中国の人口の大多数を農民が占めるにもかかわらず、ネット利用者の中では、地方の農民はわずか2%に過ぎない。

 これに比べ米国では、昨年のネット利用者が1億4300万人(米商務省発表)にのぼり、全人口の過半数を占めた。

 ひとくちに反中国政府の活動家といっても、中国政府の支配下にあるチベットから亡命した人々や、民主化運動のメンバー、中国政府が非合法組織として活動を禁じている気功集団『法輪功』の信者などさまざまだが、彼らは皆、自分たちのメッセージを広く発信するのにさまざまな手段を講じている。

 とくに国外に住む活動家たちが取る方法として、中国国内の受信者に大量のスパムメールを送るというケースも見られる。米国ならただの迷惑行為でしかないが、中国ではそのメールを読んだ人が当局に疑われた際、無差別大量配信で送りつけられたものであり、自分から望んで受け取ったわけではないと言い逃れができる。

 しかし、中国政府の対抗措置によって、ウェブを使った活動は以前より困難になってきた。禁止されたウェブサイトを閲覧する場合、中国のネットサーファーは通常いわゆる「プロキシサイト」[プロキシサーバーを使って政府などのファイアーウォールを回避し、禁止サイトへの匿名アクセスを可能にするサイト]を利用していた。ところが、マルベノン氏によると、中国政府は国民のインターネット接続を完全な管理下に置いており、プロキシを使ったアクセスが行なわれれば、これを数時間以内に速やかにブロックするという。

 中国政府はまた、無認可営業のインターネットカフェも厳しく取り締まってきた。北京のインターネットカフェ火災で24人が死亡した2002年6月以降は、いっそう規制を強めている。当局は北京など都市部のネットカフェを安全上の理由から閉鎖したと発表したが、ほかにもここ1年、利用者のオンライン活動を監視するソフトウェアの導入を怠ったとして多数のネットカフェが閉鎖に追い込まれている。

 ランド研究所の報告によると、オンライン活動を理由に逮捕された中国国民は、この2年間で少なくとも25人を数えるという。

 また、法輪功のウェブサイトをダウンさせようと、中国のいくつかの非政府組織がハッキング行為を行なったことも報告書には記されている。

 中国政府はさまざまな規制を通じて、国内企業にも自ら顧客の監視を行なわせてきた。マルベノン氏によれば、中国ではインターネット・サービス・プロバイダー(ISP)が顧客のオンライン活動に責任を負う義務があるという。そのため、ISPでは「ビッグママ」と呼ばれる従業員を置き、チャットルームの監視と危険分子の排除に当たらせている。

 対する反体制活動家も、オンラインのゲリラ戦に新たな武器を導入しはじめている。ファイル交換ネットワークだ。米国でレコード会社や映画会社に大打撃を与えたファイル交換と同様の技術を用いれば、活動家どうしが互いに通信し合える。とくに新しいタイプのファイル交換ネットワーク『グヌーテラ』(Gnutella)や『カザー』(KaZaA)は中央管理型のシステムではないため、利用を完全に抑えるのは難しい。

 「中国の人々は、反体制活動のフォーラムとなり得るものをすばやく見つけ出して利用しているし、それを使って音楽やポルノのファイル交換をしている」とマルベノン氏。

 ランド報告書の執筆者たちは、時代の趨勢は反体制の側に向いていると考えている。多くの中国国民が近隣の韓国や台湾に関心を寄せ、政治的な自由以上に経済的繁栄を欲している現状にあって、インターネットは徐々にその両方をもたらしてくれるというのがその理由だ。

満州事変ぼっ発70周年/中国、歴史問題で対日圧力強化

2001.02.24【北京23日=伊藤正】The Sankei Shimbun
各地で記念行事開催/「日本撲滅」感情的メールも
 日中関係に詳しい中国筋によると、中国は満州事変七十周年の今年秋、北京など各地で記念行事を行う計画に着手した。日中関係が冷却化する中で、中国側は歴史問題を再びクローズアップし、対日圧力を強める見通しである。

 満州事変は一九三一年九月十八日に旧日本軍が満鉄線を爆破、中国軍の仕業として軍事介入の口実にした事件で、翌年の満州国設立に始まり、日中戦争へ発展していく発端になった。中国では九一八事変と呼び、毎年、多くの文章が発表されるが、今年は各種の集会などを開く予定という。

 中国筋はこれを機に歴史問題が大きく浮上すると述べたが、インターネット上では、旧満州で抗日運動を指導した楊靖宇が四〇年に日本軍に射殺された命日の二十三日、それにちなんで「日本撲滅」を呼びかけるメールまで登場した。

 対日姿勢硬化の兆しは報道に反映している。二十三日付の中国各紙は「新しい歴史教科書をつくる会」メンバーが執筆陣に加わった新歴史教科書を批判、日本政府に検定不合格を求めた中国外務省報道局長の発言を一斉に掲載。また軍機関紙「解放軍報」は野呂田芳成衆院予算委員長の戦争に関する発言に関し、「『失言』から国格を失うに至る」との評論を掲げ、党機関紙「人民日報海外版」は、小林よしのり氏のマンガ「台湾論」を「台湾同胞の感情を侮辱した」と非難した。

 日本がらみの訴訟やトラブルの報道も増えている。その多くには「中国人を軽んじている」「民族のプライドを傷つけた」といった感情が底にある。これは中国の大国化に伴い、多くの中国人が「日本なんてたいしたことない」と考えるようになった裏返しともいえる。

 中国政府には、最大の貿易相手国かつ援助国である日本とことを構える気はない、と当局筋は明言する。とりわけ中国側にとっては、歴史問題を全面展開し不評を買った九八年の江沢民国家主席の訪日の記憶は生々しい。しかし昨年訪日した朱鎔基首相は歴史問題を回避したと、ネット上で集中砲火を浴びており、民族感情を無視するわけにはいかないという。

 もう一つは、ブッシュ米政権の東アジア政策との関連である。中国が警戒するのは、日本が米国との安保体制を強化、戦域ミサイル防衛(TMD)計画を進めるだけでなく、台湾防衛にもコミットすることだ。中国にとって歴史問題は、依然として有力な対日カードと中国筋は話している。

「日本人多く殺せば英雄」/反日ネットゲーム 中国に登場/高得点者に「南京本」贈呈

2000.09.26 The Sankei Shimbun
 中国で、日本兵を殺して得点を競い高得点者は「抗日英雄リスト」に名前を連ねるインターネットオンラインゲームが登場、かなりの人数が参加していることが二十六日までにわかった。中国では九月に入り、官営マスコミが日本の侵略を改めて大きく掲載する“反日報道”が急増しているが、こうしたインターネットでも、反日の動きが広がっているといえそうだ。(野口東秀)

 ゲームは、「南京龍域」というインターネット上のサイトにおけるオンラインゲーム。「打倒日本軍国主義」とタイトルがつけられ、モグラのように穴から顔を出す「日本鬼子」(日本兵)をマウスのポインターでクリックすることで“殺害”する。ゲーム参加者は、殺した日本兵の数によって得点を競う仕組み。

 参加者は「命中率」に応じた得点順に「抗日英雄リスト」に名前が記録されるほか、架空の通貨「元」も併用し、日本兵を殺害していくごとに、「一元」「二元」と持ち金が増えてもいく。最高得点者は三千点と記録されていた。

 さらに十月一日(中国の国慶節)時点で、得点ベスト三には、南京事件を記録したとされるドイツ人ジョン・ラーベの「ラーベの日記(邦訳・南京の真実)」、以下ベスト一〇までには「南京虐殺本」の訴訟で敗訴したが中国ではヒーロー的存在の東史郎氏の日記(著書)を贈呈するとしている。

 このゲームの最初のページには、日本軍による虐殺とする「写真」を掲載しているほか、ゲーム終了後には、掲示板が設置され、「原爆を日本に落とせ」「東京大虐殺」「小日本(日本の卑称)は死ね」などのタイトルで文章が投稿・閲覧できる。

 「小日本を消滅させる方法」では、「日本を占領したうえで、若い日本人女性だけを生かし、エスニック・クレンジング(民族浄化)すれば日本そのものが十数年後には消滅する」といった内容まで書きこまれている。

日本が中国の環境ネット整備に無償援助

March 29, 2000
 日中両国政府は29日、中国各地の環境情報を網羅する「環境情報ネットワーク」の整備計画に対して、日本側が9億4000万円を無償援助する合意文書を交わした。署名式に出席した谷野作太郎駐中国大使は日本の対中援助に関して、中国の軍事費が経済成長率を上回る伸びを示していることについて、与党内に強い反発があることを中国側に伝えた。

 計画は、中国国内で深刻化する硫黄酸化物などの排出量増大や酸性雨被害に対処するため、中国の各都市が環境情報を交換するシステムを整備しようというもの。1997年、橋本龍太郎首相(当時)が訪中した際に合意していた。

 署名式には谷野大使と中国・対外貿易経済協力省の龍永図次官らが出席。大使は、対中円借款をめぐる日本国内の厳しい状況も説明した。龍次官は「今後も日本のODA(政府の途上国援助)に協力を求めたい」と述べた。

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